Youtuberとして活動する傍ら、ロックバンド「ミノタウロス」としても活躍している
みの による初めての著作「戦いの音楽史」読み終わりました。
ざっくり言うとこの本は「20世紀の音楽の流れ」を知ってもっと音楽を好きになるための一冊ですね。
まぁざっくり、ホントざっくりですけど
いわゆるロックの中で通史とされる流れはこれ1冊で追えます。
メインはロック史だけど、ヒップホップ、R&B、そしてその背景にある社会問題や日本の音楽にも着眼点を置いているのが今作のポイントで
そこから20年代の音楽とのリンク(主にヒップホップの背景)や
みのが動画内でもよく言ってる「邦楽はまだ世界に発見されていないだけ」という考えを簡潔に分かりやすく知ることが出来ます。
義務教育で世界史を勉強してきてる人なら分かると思うんですけど、
あれって一つの国の歴史、文化、出来事を追っかけてるわけじゃないから、色々混乱するんですよね。あれ?いまどこの国の話してたんだっけ?っていう具合に。
ロック史も同様のことが言えて、
基本的にアメリカとイギリスの国のどちらかが音楽的なムーブメントを牽引していくみたいな流れなんですけど、やっぱりややこしいんですよ。いまアメリカ?イギリス?みたいな。
そんでもって90年代くらいからは完全に個々の国で別のムーブメントが起こったり、サブジャンルが勃興してそっちの方が人気を博したり。
それとは別にポップスの歴史もあったりしますからね。
そのややこしい流れを出来るだけ簡潔かつ分かりやすく、(多少無理やり)1つの流れとしてまとめきっているので、ひじょーーーに読みやすいです。
例えば自分はOasisが代表される90年代のイギリスで起こったブリットポップムーブメントが好きなんですけど、このムーブメントはいわゆるロック史では重要視されない傾向が強いです。
ブリットポップムーブメントはアメリカでのグランジに対して、地産地消じゃないですけどイギリスがイギリス的なモノを追求したものであって、アメリカではそこまで成功しなかったんですよ。(ちなみに日本ではめっちゃ人気ありました)
それが直接的な理由かは分からないですけど、ブリットポップはグランジに対しての回答としての数行の説明に留めて
本著では現代の音楽、ヒットチャートに直接リンクするヒップホップに一章まるまるページ数を割いて紹介しています。
こういう思いきりの良さも読みやすさに直結してる気がします。
ただ、みのが本を書くために勉強してその知識を詰め込んだ!っていうのが伝わる一方で、
読みやすいし分かりやすいんだけど、
それはいわゆる教科書的な分かりやすさであって、
アーティスト自体の魅力であったり、聞いたみたいな!と思わせるほどの文章では無くなっちゃってるかなぁと。
やっぱり動画内でみのがみの自身の言葉で喋って伝えている内容に比べると
多少の味気なさは感じます。まぁこればっかりは作家では無いので仕方ないかもしれないですけど。
でもこの欠点を差し置いても
「音楽は好きだけど歴史は知らない、知りたい」っていう人には凄くおすすめできる1冊だと思います。
Youtubeでどんな人がどんな信念で音楽を語っているか知ることもできますし、ハードルが低いのはもちろん(散々言ってるけど)何より分かりやすいが良い。
おっかたいのが苦手なんで、さらっと読めてするっと知れるこれはマジでおすすめできます。
個人的にはこの本を教科書にみのミュージックで戦いの音楽史講座みたいな動画とってもいいと思うんだけどなぁ…と思ったら、もうそんなコンセプトの動画あったね(笑)