Twitterで先に公開していた2021年上半期ベストアルバムの完全版です。
こちらでは順不同になってます。
「鷺巣詩郎 / Shiro SAGISU Music from" SHIN EVANGELION"」
前作から8年以上ぶり、シリーズ完結作となったアニメ映画「シン・エヴァンゲリオン劇場版」のサウンドトラック。
エヴァの音楽はTVシリーズからずっと鷺巣さんが担当してきているんだけど、ぶっちゃけた話、新劇エヴァのサントラはそこまで好きでは無かった。
本編がそうであるようにサントラの方も基本的にはTVシリーズで使われていた楽曲のリメイクであり、それが微妙に感じていたからだ。特に「Asuka Strikes!」のアレンジ版は一番好きなフレーズが取っ払われてしまっていたので 勝手に「新劇のサントラは…」というイメージを持ってしまってまともに聞いてなかった。
それが間違いと気づいたのはシンエヴァ初鑑賞時で(遅っ!)、内容はもちろんエヴァでこんな暖かい旋律が合うのか…とかこんなバトルシーンでインダストリアルなサウンドをぶち込むとは…みたいなオドロキの連続だった。
随所にTVシリーズや旧劇を彷彿とさせるフレーズが差し込まれていたりしていたのもグッと来た。集大成にして新境地、まさにエヴァを終わらせるためのサウンドトラックだったと思う。
「Royal Blood / Typhoons」
ベースヴォーカルとドラムスのロックデュオRoyal Bloodによる4年ぶりの新作。
これがベースの音か!?二人だけでこの音はヤバい…という衝撃のデビューから今作で3枚目になるけど、今作は前2作とは異なった路線を彼らは選び、ダンスミュージックを大胆に導入。
最初はどうなることやらと思ったけど、蓋を開けてみれば意外なことに上手い事ハマっている。アンセム的な曲は無いけど、2人の重たいグルーヴでアルバム全編に渡って踊らせてくれる最高の1枚だ。
「Foo Fighters / Medicine At Midnight」
デイヴグロール率いるFoo Fighters、3年ぶり10枚目のアルバム。結成25周年をお祝いするダンスミュージックだそうで、David Bowieの「Let's Dance」を意識しているようだ。
確かにいつになく歌よりもグルーヴィーでダンサブルなサウンドに焦点が置かれているような気もするが(「Shame Shame」、「Medicine At Midnight」辺り)、
フーファイらしい豪快なリフとポップでキャッチーなメロも健在でこれだよねぇ!っていう期待を裏切らない安心感もある。正直目新しさは無いし、革新的でもないけどフーファイにはこういう豪快で気持ち良いロックンロールが似合う。
「XIIX / USELESS」
UNISON SWUARE GAREDENの斎藤宏介とベーシスト須藤優によるユニット、2枚目のアルバム。
ユニゾンは知ってるし好きだけど、メンバー各々の活動までは追って無くて
今回彼らがVIVALA ROCKに出るということで予習がてら聞いてみた。
ユニゾンには無いR&Bやヒップホップの要素を取り込んでいて(ライブだとDJまでいた)斎藤宏介のヴォーカルで横ノリのこういうスタイルのものも聞けるんだ…とビックリした。めっちゃ良い。この要素がどちらのメンバー由来なのかは分からないけど、こういうのが聞けるのはバンド外での活動ならではだよなぁと。
さらに田淵並みにキャッチーでポップな曲が出まくるのは本当にビックリした。
「坂本真綾 / Duets」
坂本真綾25周年を飾る4枚目のコンセプトアルバム。タイトル通り、7人のゲストヴォーカルとデュエット作品となっている。
真綾さんの「この人とこういうことがしたい」がキチンと核になっていて
なおかつ全7曲それぞれ独立した短編のような色を魅せてくれるのが凄く良かった。
あと単純にシティポップ、ブギー、R&Bを下敷きにしたサウンドがめちゃくちゃ好みで近年の作品の中でも飛びぬけてポップだと思ったのも好きになった一因かな。
「The Fratilles / Half Drunk Under a Full Moon」
グラスゴーのバンドThe Fralellis、3年ぶり6枚目のアルバム。
スローでメロウな曲が中心で、アレンジでストリングスとブラスで華やかさを添え、バッキングシンガーの導入でコーラスも強化。その結果出来上がったのがレトロな空気感漂うバロックポップ。
1stの頃のようなガレージロックでは無いし、シンガロング出来る曲も無いけどキャリアを重ねた今はこういった作風の方がピッタリ似合っていると思う。
「Weezer / OK Human」
オーケストレーションサウンドを導入&ギター不使用という大胆な作風のWeezer13枚目のアルバム。
お、オーケストラ!?と最初は思ったけど、仰々しく盛り上げるだけのオーケストレーションではなくて曲に寄り添った演奏になっていたし、ソングライト自体もサウンドの豪華さに負けないメロディを持った歌に仕上がっている。
こういうのって歌が弱いとオーケストラが勝っちゃってイマイチに感じることも多いんだけど、その点、Weezerは"歌"がキチンとしてるのでらしさはしっかり感じられて、「WeezerらしいけどWeezerらしくない」が成立しちゃってるのが面白い。
20年に亡くなったEddie Van Halenに捧げられたWeezerの14枚目のアルバム。
「OK Human」と対照的にこちらはギターがぎゅるんぎゅるん鳴り響くHR/HMリスペクトなロックアルバムだ。
タイトルはそのままヴァンヘイレンだが、「Blue Dream」はオジーオズボーンだし、
「1 More Hit」はメタリカっぽい、そんな自分のルーツへの愛しか感じない作品。
どうやらリヴァースはいま創作意欲がピークに達してるみたいで、今作におけるメロディメイカーっぷりもえげつない。こういうこと言っちゃうと賛否両論あるかもしれないけどWeezerの全盛期って今では?
「Justin Bieber / Justice」
前作「Changes」からわずか1年という短いスパンで届けられたJustin Bieber6枚目のアルバム。
前作がR&B、トラップでまとめられた作風だったのに対し、今作は幅の広いポップスアルバムに仕上がっている。「Holy」のようなゴスペルチックな曲もあれば、最近のトレンドである80'sサウンドを導入した「Die For You」、ポップロックっぽい「Hold On」もある。そのどれにも共通していえるのがめちゃくちゃキャッチーなメロを持っているということ。
復活作「Chagnges」がそういう方向性では無かっただけに、今作でようやくポップスターJustin Bieberが戻ってきた!感を感じられた。
「豊崎愛生 / caravan!」
豊崎愛生4枚目のアルバム。前作からベストアルバム、カバーアルバムの発売はあったが、オリジナルでのアルバムは5年ぶり。久々。
フォーク&ポップな従来のイメージ通りの豊崎愛生っぽい曲もいっぱいあるけど、
新境地になるダンサブルな曲も。一応シングル「ハニーアンドループス」が星野源の「恋」辺りに影響受けた感じのダンスナンバーだったけど、
もっとエレクトロっぽい「ライフコレオグラファー」、サビでEDMみたいなブレイクがある「March for Peace」ともっとそれをシンセ方面で押し進めたものになっていてビックリ。
ただ、過度な装飾はしてなくて、あくまで豊崎愛生のアルバムの中でも成立するような
ほんわかしたポップスとして昇華しているので違和感なく聞けるし、この閉鎖的な今だとこんくらいの開放的なサウンドが必要だよなぁとも思った。良かったです。