Aqua Timez 5th Album。
2012年9月5日リリース。
前作から1年7か月ぶりのアルバム。
シングル「MASK」「つぼみ」を収録。
前作から今作にかけての時期にライブのあり方を大幅に見直し、ステージングや楽曲のアレンジを再構成しており、その影響が楽曲にも強く出ている一作。
遊び心もありつつも、ライブ感の強めなロックアルバム、というのが今作の印象だ。
前作は1曲だけだった外部プロデューサーの参加も今作では大幅に増えて、その分楽曲の幅も大きく広くなった。前作に引き続き、作曲はバンド名義が多め(ただ聞いてる感触だと太志のものが増えたかなと思う)。
個人的にはAqua Timezに新しい風を吹き込んだ傑作だと思う。
なお今作とシングル「つぼみ」では「Aqua Times」という連動企画の新聞的なものが封入されていたり、体験型宝探し「タカラッシュ」とのコラボレーションが為されていたりと今までにない試みも多かった(結局どちらもこれ一回きりだったけど)。
「音速の風景」
ミニアルバム「七色の落書き」以来となるポエトリーリーディング。
1分半と短い楽曲で今までのポエトリーリーディングのようなストーリー性を感じるものではなく、「時は一度きり」という精神性はどちらかというと前作「カルぺ・ディエム」に通じるものもあって、そこからの続きなのかな?と個人的には思ってる。
「オーロラの降る夜」
こちらも2分弱も短い楽曲。
アルバム幕開けを飾るのに相応しい勢いのあるパンキッシュな1曲。
壮大なストリングスアレンジは彼らのアルバムオープニング曲あるあるなんだけど、
こう攻撃的な曲にそういったアレンジを当ててくるのは今までの彼らには無かったもので、この辺はアレンジで参加したakkinの感覚が出てるのかなと。
「because you are you」
アルバム表題曲。
バンドサウンドをきちんと響かせつつも、ポップスとして歌を聴かせることを重きを置いたアレンジメントが非常に見事。
この手の表題曲、リード曲系の曲は今までならストリングスを入れて壮大に仕上げていた気がするけど、4人のサウンドがメインになったアレンジ(中でもmayukoのキーボードの演出が光る)でロックバンドだ!というのを強く感じられるのも良い。
この曲もakkinがアレンジ参加。やはり今までのAqua Timezに無い色を確実に感じる。
この辺のサウンドの変化は好みは結構分かれそうだけど、個人的にはこの変化は全然OKだった。
シンガロングするパートも歌詞のメッセージ性を強めていてグッとくるし、
個人的にはこの曲を聞いて「カルぺ・ディエム」でやや自分の好みから離れてしまった太志の歌詞の世界観がまたガッチリと戻ってきたのを感じた。
そんなAqua Timezファンへの回帰の1曲でした。。。
「つぼみ」
15thシングル。
仲間由紀恵主演「ゴーストママ捜査線-僕とママの不思議な100日-」主題歌。
「虹」の大ヒットをもう一度…!と思っていたがは分からないが、
曲の雰囲気にどことなく「虹」を感じる。
仲間由紀恵主演ドラマのタイアップでおそらく「虹」のような曲を!というオファーがあったんだろうなぁと想像がつく。
ドラマの方もまずまずな視聴率でこのシングルもアルバム先行ということもあってヒットはしなかったんだけどね…。
というなんとなく二番煎じ感がにじみ出てしまう曲だけど、
純粋な楽曲としての強さは全盛期に近いものを感じられるし、メロディは前後のシングルと比較してもかなりキャッチーに仕上がっている。
「僕たちは一人じゃなくて“ひとつ”だよ」という歌詞のメッセージ性もシンプルながらも太志が昔からずっと歌ってきたテーマをぎゅっと詰め込んだみたいな強さを感じられて凄く好きだ。
この頃は謎にキャンペーンとかも多く打ってたし、もっと多くの人に届けたかった曲なんだろうなぁと思ってる。
ライブであんまり聞く機会が無かったのが残念。
Music Videoが存在している。タイアップドラマに出演していた君野夢真が出演している。
モノクロっぽい世界の太志が謎の光線を放って世界をカラフルにする謎世界観。
「輪になって」
高橋みなみ出演の『Kaepa Active Sports Campaign』TV-CMソング。
キャッチーで爽やかなロックチューン。
この曲の特徴といえばやっぱりキーボードかな。
同系統の曲は後にも先にもあるけどキーボードの爽やかエレクトロ感がこの時期だからこその出色って感じ。
「because you are you」もそうだったけどロックバンドとしての音をしっかり出しつつも、ポップスとしての色付けがドンドン見事になって行ってる。最初聞いた時は「アルバム曲でこの完成度か!?」とビックリした思い出がある。
「LOST PARADE」
短編小説のようなストーリー性を感じさせる歌詞が特徴のロックバラード。
太志は前々からBUMP OF CHIKENの藤原基央のような歌詞に憧れがあったといった趣旨の発言をしてたのでそれをついに楽曲として形にした、という感じなのかな。
歌詞はジュブナイル映画みたいで映像がすっと目に浮かぶようなストーリー性。
ラストサビには熱いロックバラードに変貌して「別れと成長」を感じさせる結末に少しホロリと来てしまう…。
仮にアルバムでMusic Video作るならこれだろうなぁ…と思ってた。なんなら今からでも作ってほしい。
Extra「MASK」C/W「空につづく道」
素朴な雰囲気のポップソング。
太志の亡くなってしまった飼っていた犬との思い出を歌った曲ということで
リリース当時は特に思うことは無かったんだけど、
実家で飼っていたワンコが亡くなってからは歌詞が響きすぎて、色んなシーンがフラシュバックして涙なしに聞けなくなってしまった…。
バンドの過去を振りかえった自己紹介的ミクスチャーロック。
昔のような言葉をガッツリ詰め込むラップじゃない、歌うタイプのラップ。
音はロックではあるけど、もうインディーズの頃みたいなハードな音にはならんのねぇ…ってなった。