Aqua Timez 4th Album。
2011年2月16日リリース。
「The BEST of Aqua Timez」を挟んで約2年ぶりとなるオリジナルアルバム。
シングル「プルメリア~花唄~」「絵はがきの春」「GRAVITY 0」「真夜中のオーケストラ」収録。
一言で言うと"変化"のアルバム。曲のテーマに生と死といったシリアスなモノを選んだり、初めて外部のアレンジャーを迎えたり、太志のヴォーカルも初めてファルセットが導入されたり、とベストアルバムを経て次のフェーズに向かおうとしてる過渡期的作品だと思う。作曲でも太志単独に交じってバンド名義のクレジットが大幅に増えたのもこの時期。
個人的にはこの変化がリリース当時受け付けなくて、ファンになってから初めてライブ行かなくなったり、ちょっとバンドと距離を置いていた時期になる。
今では苦手意識こそ無くなったものの、前後の作品が良すぎるので改めて聞きなおすことも少ないかな…。
「百年の樹」
Aqua Timezらしいポップスセンスあふれるメロディと強いメッセージ性を兼ね備えた楽曲。
今作は"時間"や"死生観"がテーマになっている曲が複数あり、アルバムのオープニングになるこの曲も百年の樹に過去と今の対比をなぞらえてメッセージを紡ぎだしている。
歌ってる内容の核自体はそこまで変わんないだけど、孤独とか自分と向き合う内省的な
詞の世界観だったのが急にスケールがデカくなったなぁ…とリリース当時は感じた思い出。
「最後まで」
「The BEST of Aqua Timez」に収録された新曲。
『SONY “WALKMAN” × MTV “ひとつになれる歌” 』プロジェクト・ソング。
今作に収録するにあたって前奏のチューニングがカットされた。
Sony Walkman“ひとつになれる歌”プロジェクトとして
全国の高校生から寄せられたメッセージにインスパイアされて制作された楽曲。
そのまま高校生の生の声を代弁してくれているようなメッセージに受け取れてる歌詞に仕上がっている。
変にこねくり回さず、ライブ感のあるストレートなロックサウンドに仕上げた所に
10代の衝動みたいなものを感じられて、Aqua Timezの楽曲の中で一番青春を感じる熱い曲だと思う。
これまでバンドを応援してくれたファンへのメッセージソングにも受け取れるので、そういった意味でも熱い曲。
またこれは最近思ってる事なんだけど
Aqua Timezは幅広い世代に受けたバンドというよりかは
00年代後半辺りに学生だった人に人気があったので、
青春の思い出のバンドみたいな立ち位置になってる人が多いと思うんだけど、
そういったバンドの"青春"の側面を切り取ったという意味でこれは非常にノスタルジックな曲なのかもしれないなぁと。
Music Videoが存在している。
どこかの学校の体育館での演奏を収めた映像。楽曲が学生のメッセージにインスパイアされた&ライブ感のあるサウンドからそのまま連想するような映像だけど、
青春の1ページを切り取ったようなカットばかりで見ててなんか切なくなった…(俺が出てるわけでもないのに笑)
「プルメリア~花唄~」
10thシングル。
映画「ごくせん THE MOVIE」の主題歌として書き下ろされた楽曲。
多幸感溢れる歌詞とポップで爽やかなサウンドが特徴的で、
前作「うたい去りし花」の方向性を一曲に凝縮したような楽曲。
アルバム収録曲の中では最古の楽曲で、前作と今作のアルバムでのテーマ性の違いということもあってかアルバムの中ではちょっと浮いてる感はあるかも…。
この曲のテーマはずばり"幸せ"。
その象徴としてハミングとか鼻唄が歌詞の中で何度か出てくるんだけど、
何気ない鼻唄に幸せを重ねる歌詞が凄く微笑ましくて、聞いてるこっちが照れそうになる…笑。
そして
「この歌が流行の影にしおれていっても、 君が僕のそばで鼻唄で聞かせてくれるなら構わない」という歌詞ね…この歌詞がめちゃくちゃ強い詞だと思うんですよね。
何気ない幸せを描写する一面と、人気商売であるこの仕事においての楽曲への姿勢の2つの側面が見えるんだけど、
後者は当時セールス全盛期だった彼らからは中々出るフレーズでは無いでしょうよと笑。
これまでもちょこちょこ出てきたけど、
ただただ前向きでは無いし、ポップなわけじゃない。ちょっと諦念が入ってる感じ。
解散時に太志が「いつか歳を重ねてもみんなの口ずさむ曲がAqua Timezの曲だったらいいなぁ」というコメントがあったけど、
この曲はそういった太志の音楽の評価に対しての向き合い方というか、精神性が如実に出ているよなぁと思ってる。
Music Videoが制作されている。元AKB48、SDN48の浦野一美が出演。
花唄なんて副題がついているので
スタジオに花びらが散りばめられていて凄く映像がカラフル。
花瓶に水をやる、というこの曲の肝もちゃんと映像化してて
この曲の持つ多幸感をよく表現していると思う。
Wikipediaによるとタイアップ先の映像を使ったMoive ver.というものもあるらしいが、商品化されてないし、見たことも無いので詳細は不明。そんなのあるのか?
「真夜中のオーケストラ」
13thシングル。テレビアニメ「NARUTO -ナルト- 疾風伝」のエンディングテーマとして起用されている。
今作の先行シングルとしてリリースされた。
この曲を一言で表すと王道のAqua Timez。
何が王道か?は人それぞれ違うと思うけど、彼らの場合は孤独をテーマにした内省的な歌詞とそれに寄り添うようなメッセージ性、そしてそれを乗せるためのグッドメロディがあることだと思う。
メロディの良さに関してはずっと変わってなかったけど
シングルのディスコグラフィを見ると「虹」のヒット以降、歌詞の面においてのAqua Timezにおける王道を意外とやってなくて、
前作「うたい去りし花」もテーマ的に孤独とかそういうテーマが取り上げられることが少なかったのでそれがこの曲に久々に!という感じ。
「幸せにしたって孤独にしたって、分け合える誰かがいるかどうか」というメッセージ性はいま聞いてもグッとくる。
ストリングスをフューチャーしたいつもよりも壮大なサウンドスケープも
内省的な歌詞と対比的で楽曲に良い相乗効果を生んでいると思う。
Music Videoが存在している。
切り絵のようなカラフルな世界観。大きな仕掛けは無いけど、ひたすらに映像が綺麗なのでお気に入りのMVの一つ。
「カルぺ・ディエム」
アルバムのタイトル曲。
タイトル名はラテン語で〈今日という日の花を摘め〉という意味を持つ。
この曲は死生観が歌詞のテーマで今までのAqua Timezとは明確に雰囲気が違う。
サウンドも歌詞の世界観に寄り添うかのように静と動がハッキリとした繊細なアレンジになっている。
この作風の変化にリリース当時、この曲を初めて聞いた時は「ど、どうしたんだAqua Timez!?」って思ったのを凄く覚えている。
実は今でもこの歌詞はちょっと苦手で、スケールの大きなテーマに対して歌詞の表現が追っついていない感を感じてしまうんだよな。おまえマジで何様だよって感じだけど。
同じテーマならこの後の「メメント・モリ」の方が等身大な感じがあって好き。
Extra
「プルメリア~花唄~」C/W「長すぎた夜に」
平メロラップ&サビがキャッチーなメロディという構成はもはや伝統芸になってきてるけど、この曲辺りからラップパートが言葉をぎゅっと詰め込むのは辞めて、"歌うラップ"に変貌してきている。
リリース当時からこのゆったりとしたラップの感じがなんとも苦手で
ベストアルバムを引っ提げてのツアー「Music 4 Music tour 2010」でこの曲がラストに来た時はビックリした。というか最初気づかなかった…(笑)
「絵はがきの春」C/W「流星のうた」
OKPが当時ハマっていたハウスミュージックの要素を取り入れた楽曲。
こういうふんわりとしたエレクトロ系の曲は今までになかったし、そういう方向性なのかなぁ…と思わせておいて最後の最後に"らしい"ロックサウンドをガツンと響かせるのは憎い。
全盛期が過ぎた後のシングルのC/Wということで知名度は低いけども、
たまにこういう良い意味で期待を裏切られる曲が来るからC/Wも侮れない。
「空に近い街」
「魔女の宅急便」のテーマに書かれたアコーディオンが特徴的な楽曲。
2013年の「because we are we tour」では吹奏楽のような編成でアレンジver.が披露されてたけど、雰囲気的にはこっちの方が好きかも(ただ太志の声の調子があんまりよろしくない…)。
絵はがきの春に収録された3曲はそれぞれで違う顔を見せてくれていて、結構お気に入りのシングルだったりする。