「MASK」
14thシングル。テレビアニメ「BLEACH」エンディングテーマ。「BLEACH」のタイアップはこの曲で計4回目で初めてのエンディング担当となっている。
ラップ調の平メロにキャッチーなサビメロというAqua Timezの十八番ともいえる曲構成。歌詞も久々に自分の内面に視点を置いた内省的な内容。
メロディに対して多少字余り感のある歌詞の当て方もインディーズの頃の彼らみたいで懐かしい。
前作アルバム「カルぺ・ディエム」がやや異色の作品だったので、そこから初めての新曲になったこの曲はザ・Aqua Timezな1曲に回帰したんだなぁとリリース当時は凄く感じていた。
曲の感じは同タイアップの「Velonica」に似通ってるけど、
「MASK」は内省的ではありつつも「曇らずに生きてほしい。だから雨を嫌わないで。」と歌詞に前向きさを滲ませているので、感じる印象はやや異なる。「Velonica」はもっと突き放したようなダークな世界観があったけど、「MASK」は曇天が徐々に晴れわたっていくような感覚。
「心に何も被せないで思い切り笑いたかったんだ」という最後のフレーズも曲名の「MASK」と相まって非常に解放感のある最後になっていて非常に良いと思う。
ライブに置いては今作リリース後は定番曲として定着。
後期Aqua Timezがリリースした楽曲の中で最もライブで演奏されたのはこの曲だと思う。
そんなライブ定番曲になった「MASK」だが、
2014年の「Shoes and Stargazing Tour」においてより歌詞の聴かせることを重きを置いたしっとりとしたアレンジで披露された。
キーが下げられ、1番をバラード調に2番からテンポアップするという構成になっており、こちらはシングル「生きて」のカップリングで音源化されている。
Music Videoが存在している。
曲の歌詞を反映してか、鏡とそれを映し出す光に焦点を当てられた映像。
そんな感じなので演出として映像がずっと白飛びしてる。ちょっと目が痛いかも。
「鉛色のフィクション」
有りそうでなかったファンキーなビートの乗せたラップソング。
歌詞に出てくるワードも「黒い筋肉質」とか明らかにラーメンの事を歌ってる下りとか
今まででは考えられないようなモノが頻出。
今までのラップソングというとどちらかというとメッセージを詰め込めに結果ラップという形になっていた感じがするんだけど、
この曲はもっと歌詞の響きと音の響きのカッコよさを重視したような感覚。
賛否は分かれそうだけど、このファンキーなカッコよさが凄く個人的にはハマった1曲。
でもモンゴルの岩塩って…(笑)
「good sleep」
ピアノの軽やかなフレーズが心地よく耳に残る、ほんわか&ガーリーなポップソング。
曲調を反映してなのか、こちらも今までに無いほど歌詞が良い意味でゆるい。こうしよう!みたいな強いメッセージも無く、ゆるーーーい空間で空想に耽るみたいな幸せな雰囲気を感じられる。
「君となら」
客演としてLGMonkeesといしばしさちこが参加している。
前曲に引き続き、ほんわか路線の優しい感じのポップソング。「LOST PARADE」にも通じるストーリー性の強い小説のような歌詞が特徴的。
LGMonkeesが歌唱する部分は自ら歌詞を書きおろしているのでそのパートのみ、明らかに言葉遣いが太志のそれと違うので激しい違和感に襲われる。
いしばしさちこに至ってはコーラスがメインでソロがワンフレーズしか無いので可哀想すぎる。
まぁその辺を気にしなけば普通に良い曲。初めて客演を迎えるということで結構曲も力入っていてメロディもアルバムの中でも随一のキャッチーさ。大好き…とまではいかないけどこの曲にしかない良さもいっぱいあるので割と気に入ってる。
「兎のしっぽ」
前2曲に引き続き、ほんわか路線のポップソング。より童話的な世界観を持った歌詞で一個の世界観が確立されてて、この感じが次回作「エルフの涙」にそのまま引き継がれたんだなぁということが分かる。
とにかく楽しい気持ちを!ということで作られた曲みたいけど、間奏にあるサンバみたいなサウンドアレンジは最初聞いた時はかなりビックリした。
Aqua Timezどうしちゃったの???と。
この辺でこのアルバムでAqua Timezは大きく変わったんだなという確信に至った(笑)
「HOME」
とか思ってるとアルバム最後はAqua Timezど真ん中の重厚のバラードがきたりする。
数年間温めていたということでその言葉に恥じない完成度。
歌詞のテーマ性としては家族との関係性と通して人と向き合い、自分を見つめなおすモノ。
今までも同じようなテーマで何度も歌われてきたけど、"後悔"みたいなワードがこの手のテーマの歌詞は出てきたけど、この曲はもっとストレートに気づきを得てから、幸せを抱きしめる感じに暖かさを感じて、胸にグッとくるものがある。
もうこの歌詞を歌うために今まで歌ってきたんじゃないかと思うほど、熱いし、泣けるし、感動的。もはや言葉じゃ足りない。
正直この曲は全アルバムで最高のラストソングだと思ってる。
褒め過ぎてごめん。
Extra 「つぼみ」C/W「平行世界」
彼らのカップリング曲には珍しくストレートなポップソング。
曲の癖が強くない分、メロディがいつもより良い。カップリングでもこのレベルの曲が来るのか!とリリース当時は思ったし、その期待を裏切らないアルバムの出来だった。
ライブでも聞いた記憶ないし、印象が薄い1曲だけど、個人的隠れた名曲。