80年代を代表するバンド・TOTO。
そんな彼らの歴史とアルバムを超高速で振り返ってきます。
行くぞ!
1976年:TOTOを結成。
オリジナルメンバーはこちら。
・スティーブ・ポーカロ(keyboard,vocal)
・ボビー・キンボール(vocal)
・デヴィッド・ハンゲイト(bass)
・デヴィッド・ぺイチ(keyboard,vocal)
・ジェフ・ポーカロ(drums)
(写真の左から順に)
(こっからめっちゃメンバー変わります)
ちなみにボビーとハンゲイント以外は幼少期からの知り合い。ポーカロは兄弟です(ジェフが長男、スティーブが三男)。
元々セッションミュージシャンとしてバリバリ活躍してたアーティストで、デビュー前からその腕前は折り紙付き。
そしてほぼ全員が曲を書けて、曲も歌えるというスーパーバンド。
(ちなみジェフとぺイチが実質的なバンドの主導者的な立ち位置に居た)
1978年「TOTO(宇宙の騎士)」リリース。
前述の通り、元がバリバリのスタジオミュージシャンだったので
1stにしてこの完成度。
この後のアルバムと比較しても"AORなロック"というサウンドはもうこの時点で洗練されきってる。
技巧的でありつつも親しみのやすいポップなメロディーで早くから日本で人気を得ていたのも納得の内容。
チャート上でもいきなり9位というヒット。「Hold The Line」、「Georgy Porgy」といった今でも歌われる代表曲も生まれて、幸先の良いスタート切った。
Toto - Hold The Line (Official Music Video)
1979年「Hydra」リリース。
前作と比較するとハードロック、プログレッシブロック志向が見られる1枚。
といってもガッチガチのプログレでもなくて、前作で作り上げたTOTOらしさに個々のメンバーの技術力遺憾なく発揮している…といった様相。
ただ、この方向性はあんまりファンに受けなかったみたいで商業的にはイマイチに終わっている。
1981年「Turn Back」リリース。
「難解なのはダメか、それなら…」と言わんばかりにストレートなロックに仕上がった1枚。
ギターがメインに据えられて、ルカサーがセンスの良いリフをバリバリ弾き倒しててカッコいい…。
でも、今回も商業的には失敗。2作連続で売れなかったことでバンドは苦境に立たされる。
1982年「TOTO IV~聖なる剣~」リリース。
背水の陣で制作した4枚目。
収録曲「Africa」のビルボード1位獲得、グラミー賞を制覇などなど…前2作の不調が嘘のような特大ヒットを記録した。
有名なハーフタイムシャッフルで始まる「Rosanna」や80年代を代表する曲にまでなった「Africa」など強力な楽曲がズラリ。
勿論曲の完成度やポップ性は今までダントツ1番。2018年にWeezerが「Africa」をカバーして再度ヒットさせたことからも楽曲の持つ普遍性が伝わると思う。
1stで完成したTOTOらしさを今作でぶち破り、これを更新することに成功した代表作にして大名盤。個人的には今作が1番好きだ。
また同時期に世界一売れたアルバムであるマイケルジャクソンの「Thriller」に「Human Nature」を完パケで提供しており、まさに世界を制覇した全盛期ともいえる時期だった。
Toto - Rosanna (Official Music Video)
Toto - Africa (Official Music Video)
1984年「Isolation」リリース。
前作の世界的な成功。その裏でバンドは危機に瀕していた。
前作リリース直後にベーシストであるハンゲイトが脱退。
またドラッグで喉を壊してしまったヴォーカルのボビーも解雇されてしまう。
そこでポーカロ兄弟の次男マイク・ポーカロがベーシストとして加入。
ヴォーカルはオーディションによってファーギー・フレデリクセンが加入した。
ヴォーカルが交代したこともあって、作風は変化。シンセがメインに据えられて80'sっぽいエレクトロな感じが強まった。
キンキン響くようなハイトーンのボビーとは異なり、ファーギーはハードロックに合いそうな声質ということもあって、ハードロック的な要素も感じられる。
ただ、どちらにしても1stや4thのようなTOTOらしさからはかけ離れたサウンドで、さらに聞くと時代を感じる音で売れなかったのも…まぁ納得しちゃうよなぁ・・・。
なおファーギーがバンドの方向性と合わなかったこともあり(ルカサー自伝では喉を壊したとも)、今作のみで脱退。
Toto - Stranger in Town Video (Isolation 1984) with Brad Dourif + Lyrics
1984年「Fahrenheit」リリース。
またしてもヴォーカルがいなくなってヤバい!
ということで加入したのがバンドメンバーの幼馴染であったジョセフ・ウィリアムズ。
力強く、なおかつ抜けの良いハイトーンヴォーカルで前任とはまた違ったタイプの声質だが、AORというジャンルにおいてはボビーと同じくらい親和性のあるヴォーカリストだった。
このジョセフ、父があのスターウォーズの音楽を担当しているジョン・ウィリアムズという音楽一家出身。
自身も作曲家として活動しており、そのソングライティング力はTOTOにおいても存分に発揮される。
新ヴォーカルを迎えたTOTOはAORに回帰。全体的にスロウな曲が多く、シングルヒット!というよりかはアルバムとしての完成度を高めたような感じ。
「Don't Stop Me Now」ではあのマイルス・デイヴィスが参加、この人を迎えて曲を出来るのもスーパーグループTOTOだからこそ。
なお今作を最後にスティーブ・ポーカロが脱退、これ以降は制作のみの参加となる。
1988年「The Seventh One~第七の剣~」
新ヴォーカルジョセフを迎えたバンドは絶好調のまま、「The Seventh One」をリリース。
「IV~聖なる剣~」を模したジャケ写ということもあって、AORなロックのTOTOを全面に取り入れてきており、曲自体もかなり力が入っている。
一方で今作は今までと比べてもずば抜けてポップな曲が揃っていて、サウンドのアレンジ自体もかなり華やか。シングルカットされた「Pamela」「Stop Loving You」なんかは特に顕著だ。多分日本人が一番好きなアルバムって今作じゃないかな?と思う。
アルバムは本国以外では大ヒットを記録し、これが不動のメンバーになるか!?と思いきや…。
過酷なツアーとプレッシャー、そして不摂生がたたり、喉を壊したジョセフはボビー同様、解雇という形でバンドを去ることになった…。
(CONTA) TOTO - pamela HD (ORIGINAL VIDEO)
1990年「Past to Present 1977–1990」
再びヴォーカルを失ったTOTO。
この頃になるとオリジナルヴォーカリストのボビーとの交流も復活しており、再加入が検討されていた。
が、結果としてレコード会社からの要求を呑む形でジャン・ミシェル・バイロンをヴォーカリストとして迎え入れる。
そして新曲を含んだベスト盤を引っ提げてのツアーを行うが、TOTOと新ヴォーカルの折り合いが悪かったこともあり、ツアー終了後に即脱退という形になった。
そんな経緯があってか、公式に今作は黒歴史扱いされている。
1992年「Kingdom Of Desire~欲望の王国~」リリース。
もう懲りたと言わんばかりに今作は初めて専属ヴォーカリストを置かないで制作された。代わりにスティーブ・ルカサーがメインヴォーカルを採っている。
また今作からルカサーがバンドを主導しており、それを表すようにAOR色は減り、全編渡ってギターがリードするハードでセッション的な曲が展開している。
ここに来てセッションミュージシャンとして磨き上げた技術を一気に爆発させた感じで、TOTOらしくはない作品だが、純粋に演奏の凄さを感じるという意味では今作は随一。
Toto - Jake To The Bone (Live At Montreux 1991)
そして今作リリース直後、結成当初からバンドを牽引してきたジェフ・ポーカロが死去。屋台骨を失ったバンドは解散も検討するが、新たにサイモン・フィリップスを迎えて再始動する。
1995年「Tambu」リリース。
サイモンを迎えて再始動一発目。今作でもヴォーカルはルカサー。
ハードでセッション的だった前作に比べてポップな楽曲が戻ってきた今作からは「I Will Remember」といったヒット曲が生まれた。
またルカサーが主導している影響か、ブルージーなアレンジが目立つアルバムともなっている。かつてのメインライターのぺイチは共作でしかソングライトにしか参加していないし、
AORの色はもはやどこ?といった具合でここまでくると別バンドのような気もする。
Toto - I Will Remember (Official Album Version)
1999年「Mindfields」リリース。
98年にデビュー20周年を記念した未発表曲集「TOTO XX」をリリース。そのイベントに脱退したボビー、ジョセフ、スティーブ・ポーカロが参加していたこともあり、誰かがバンドに復帰するのではないか?と噂されていた。
そして噂どおり、ボビー・キンボールがヴォーカリストとしてバンドに復帰することになった。
そんなボビーの復帰作。
さすがに全盛期とはメンバーも違うのであの頃の再現とはいかないものの、あの時の"声"が戻ってきただけあって、ポップなTOTOはかなり戻ってきた。
ルカサーのブルージーでロックな路線とAORっぽさが上手い具合に交わり合っていて個人的には良い出来だと思う。
Toto - Mindfields - Mad About You - 1999
2006年「Falling In Between」リリース。
2002年に「Through the Looking Glass」というカバーアルバムを出していたが、オリジナルアルバムは実に7年ぶり。
7年の間にデヴィッド・ぺイチはステージから降り(脱退ではない)、制作に専念することになり、代わりにグレッグ・フィリンゲインズがメンバーとして加入した。
またマイク・ポーカロが難病に倒れ、サポートのベーシストを入れることになった。
そんなこんなでオリジナルメンバーがボビーとルカサーだけになってしまったTOTO。
アルバム自体はかなりハード。
初っ端から限界ギリギリのハイトーン聞かせるタイトル曲をはじめ、「Africa Part2」ともいえる壮大なテーマの「Bottom of your soul」、セッション的バカテクの応酬「Let It Go」などなどごちゃ混ぜごった煮のような作品。一種の集大成ともいえるかもしれない。
Toto - Bottom of Your Soul (Live in Paris 2007)
この時期になるとルカサーの精神状態が悪くなっており、ルカサーが脱退を切り出す形(自伝より)でTOTOは2008年に解散する。
2010年:TOTO再結成。
難病にかかっていたマイク・ポーカロを支援するために復活。
メンツは以下の通り。
・ジョセフ・ウィリアムズ(vocal)
・デヴィッド・ぺイチ(keyboard,vocal)
・スティーブ・ポーカロ(keyboard ,vocal)
3代目ヴォーカリストのジョセフとスティーブ・ポーカロが復帰。
(当初はサイモン・フィリップスも参加していたが、2014年に脱退)
2015年「TOTO XIV~聖剣の絆~」リリース。
もともとはツアーのみでアルバムは制作予定に無かったが、メンバーの知らないところで勝手に契約されていたので「それならば最高のものを!」と制作されたアルバム。
初代ベーシストであるデヴィッド・ハンゲイントも数曲で参加している。
AORっぽさも戻ってきており、それを現代的なロックでアップデートしたような印象で現在進行形のサウンドになっている。
Toto - Orphan (Official Video / 2015 / New Studio Album)
2018年「Old Is New」リリース。
元々はBOXセットの1枚で2020年になってから単体で発売された。
80年代の未完成曲から作られているものが数曲あるというのが今作最大のトピック。
新たに書き下ろされた曲も全盛期にできるだけ寄せて作ったと言っている通り、「The Seventh One~第七の剣~」以来で最も全盛期のTOTOらしさに近づいた作品。
BOXセットの1枚ということでなかなか手に出にくい作品だったが、
この度ばら売りも開始したそうなので、「最近のTOTOは…」という方にはぜひおすすめしたい1枚。
Toto - Devil's Tower (Lyric Video)
くっっそ長くなりました…。
読んでくれた人ありがとうございます。