はい、めっちゃ遅れました。2023年の年間ベストアルバム洋楽編です。
ちまちま書いてたら全然間に合わなかったです(笑)。
ちなみに順不同です。
The Beatlesのベストアルバム、通称「赤盤」「青盤」のリリースから50周年を記念してリリースされた2023年エディション盤。
赤盤には12曲、青盤には9曲が新たに追加収録され、最後の新曲と題された「Now and Then」も収録されている。
今作最大の特徴はやはり新技術で為されたデミックスであろう。青盤に収録されていた「Now And Then」は雑音の中からジョンの声だけど抽出して新曲として完成させていたが、その技術が使われて赤盤を中心に2023Mixとして収録されている(青盤は既にでラックエディション等でNew Mixが既出済みが多い)。
なんちゃってステレオだった初期曲が綺麗に楽器が分離して音の配置が再構成されてとても新鮮な気持ちで聞けた。そもそも50年も前の音源を新鮮な気持ちで聞ける体験が貴重すぎてそれだけでも満足度が高かったなぁ。
個人的には青盤収録のNew Mixをスルーしてたこともあって今更ながらホワイトアルバムの2018Mixめっちゃいいやん!ってなりました笑。
Fall Out Boy 8枚目のアルバム。
今作の制作においてはプロデューサーに「From Under the Cork Tree」「Infiniy on High」などを手掛けたNeal Avronを再招集、古巣であるレーベルFueled By Ramenへの復帰も果たした。これだけ聞けば分かる人にはわかるが、今作はあの頃のFOBを今の時代に再現しようとしたギターロックアルバムである。
ここ最近のFOBも悪くは無かったけど、やっぱり羊の「Infiniy on High」がバンドの入り口だった身からするとこういう回帰的なアルバムが来ちゃうと手放しで嬉しくなっちゃうもんだよね。
もし2008年リリースの「Folie à Deux」の後に活動休止に入っていなければこういうアルバムを出していたんじゃないか?と思わせる作風でおそらくファンのみんなが期待していたFOBである。こういうのが聞きたかったんだよ!ありがとう!!!最高でした。
Paramore 前作から6年ぶり6枚目のアルバム。
前作「After Laughter」が80'sに接近したダンサブルなポップロックだったのに対して
今作ではロックバンドらしいサウンドへ回帰。
ただ前述のFOBのようなエモ、ポップパンクへ戻ったというわけではなく
その要素を残しつつも、ポストロックに接近して新しいParamore像を提示した作品となっている。旧来のファンを置いてけぼりにしないで、なおかつイメージの刷新を図ろうとしていてそれにキチンと成功している辺りが凄いなと思う。
アルバム1作品としての充実度で言うと個人的にはParamoreの今作が2023年の洋楽の中では1番だった。
Post Malone 5枚目となるアルバム。
ポップパンクに転向して大成功したMachine Gun Kelly同様にPost Maloneに今作ではラップしてない。Wikipediaでのジャンル分けもシンセポップ、インディーポップ、オルタナティブロックである。
といっても元々彼は「Better Now」や「Circles」などなど…メロディックな曲をこれまでもリリースしてきたわけであってそれが今回アルバムとしてまとまっただけといったイメージにこの変化には驚きはあんまり無かった。
内省的な世界観を見せつつも、今までよりも純度の高いポップミュージックを志すようになった今作は甘美なバラードも軽快なポップロックもお手の物という具合に上手く乗りこなしており、時代が違えば彼はバンドでデビューしてたんじゃないかと思わせるほど。
ラスト2曲のアコースティックな情感たっぷりなバラードは90'sのロック味を凄く感じられるので特にお気に入りのナンバーだ。
Foo Fighters 11枚目のアルバム。
長年のドラマーであったテイラーホーキンスが亡くなってから初のアルバム。
どこか歌詞であったり、テーマであったり色んな所に"喪失"を感じる。
テイラーがいたフーファイはサマソニで一回見たことがあるんだけど、実際にステージでのテイラーはバンド内のNo.2であったし、彼がいないとバンド内の空気は確実に変わってしまうんだろうなと思うんだけど、この作品は不在を感じさせないフーファイらしさど真ん中の熱いロックをこれでもかというくらいに表現している。
変化は避けられないのに変わらないであろうとする姿勢に涙なしには聞けない1枚。
The Zombies 8年ぶりとなるアルバム。
メンバーの年齢を考えてもそろそろ最後になるのか?と思うようなリリーススパンではあるが、とりあえずは出たことが嬉しい。
彼らと言えば「Odessey and Oracle」だが、ああいうサイケっぽい感じではなくて
バロックポップ、チェンバーポップというジャンルの方が似合うクラシカルな作風で
新鮮味や驚きは無いけど、50年以上続けたきた信頼できるポップスがずらっと並んでおり、その安心感でいつまでも聞いていたくなる。ラストの「The Sun Will Rise Again」はなぜか泣けてくる。
Noel Gallagher's High Flying Birds、4thアルバム。
前作「Who Built the Moon?」以降、意図的にOasis的なイメージの楽曲から距離を置いていたノエルだけど、今作ではOasis的なメロディ重視の作風に回帰。
一部例外はあるものの、基本的にはアコースティックなサウンドでここ10年くらいの作品では最もブリティッシュな匂いが強い作風。そして圧倒的なメロディセンス。「これが聞きたかったんだ!」と思わず叫んでしまうような内容だった。
どんな心境の変化があったのかは分からないけど、
ライブにおいてもソロ以降はずっとゲムとかに任せてた「Don't Look Back In Anger」のギターソロを自分で弾くようになっていたり、「Be Here Now」期の「Going Nowhere」を取り上げたりとソロにおいての音楽活動に何らかの変化が生じている感じはする。正直「Who Built the Moon?」の路線も大好きなんだけど、こういうアルバムを聞いちゃうとやっぱりノエルは良いメロディの曲を書いててほしいと思っちゃうな。
韓国のジャズピアニストLee Jin Ahのアルバム。
彼女のことはTwitterで誰か(フォロワーかな?)がこのアルバムをその月のベストに挙げていたことで知った。2023年は「URBAN K-POP」という書籍をきっかけにK-POPを聞いた1年だったんだけど、こういう自分の普段聞いてる音楽の領域外での出会いって凄く楽しいなぁと思う。
ジャージーなピアノの音作りを爽やかなポップミュージックの中に成立させているバランス感覚が素晴らしい。天使のように透き通ってちょっとガーリーな感じもするヴォーカルも良い。最初聞いた時は初期の坂本真綾を思い出しました。
アルゼンチンの女性シンガーMay Haffordによるカバーアルバム。
Spotifyの月間リスナーが150人程度なので無名に近いアーティストなんだけど、
Keaneのトムチャップリンが「November Day」をインスタで取り上げていたことをきっかけに彼女を知った。
「November Day」はKeaneの楽曲なんだけど、2021年に出たEPに収録されたデモでそんなマニアックな曲をカバーするってKeaneのファンなんだろうなという期待で聞いてみたんだけど、これが結構良かった。
カバー自体は原曲のイメージを崩さないものなんだけど、サウンドは宅録でデスクトップのみで作り上げたようなシンプルなものに置き換わっていて、
その簡素さが彼女の透き通ったヴォーカルを際立させていて凄く良かった。
特にKeaneの「November Day」とLeonard Cohenの「Hallelujah」のカバーがお気に入り。
Blur 8年ぶりとなるアルバム。
前作にあたる「The Magic Whip」はコンパクトなポップス寄りの作風だったのに対して今作はゆったりとしたバラード主体の作品になっている。
もはや現役時代のハツラツとした感じは無いけど、歳月を重ねた枯れた良さが良く出ている。音域の狭い曲も多く華やかなイメージとは程遠いけど、随所で見せつける捻くれたポップセンスがたまらない。
それにしても再結成前はアルバムに曲詰めまくるアーティスト四天王の1人だったのに今作は38分とだいぶ短い。Blurも変わりましたね…。