新作「Van Weezer」の発売が待たれる中、1月に「OK Human」という別の新作アルバムをリリースすることを発表したWeezer。
「Van Weezer」も無事に5月リリースが決定し、胸を撫でおろしております。
前作「Black Album」も発売延期になった後、サプライズで「Teal Album」がリリースされたという経緯があり、またこのパターンっすか!多作すぎない!?と思うこのごろ。
2014年から「Van Weezer」までだけで計7枚のオリジナルアルバムをリリースしているわけで現在のバンドの好調ぶりが伺えます。
そんなこんなで今回はWeezerのアルバムをランク付けしつつ、振り返っていきたいと思います。
対象作品は
・オリジナルアルバム13枚、コンピ盤「Death To False Metal」
としたいと思います。
第14位 「Death To False Metal」
2010年にリリースされたレアトラック集。
90年代から00年代までの未発表曲が収録されており、中には「Pinkerton」を最後に脱退したベーシスト・マット参加の曲もある。
00年代のWeezerは色々音楽的に模索していた時期であっていわゆる"らしい"曲は少なくなってきていた。多分意図的にオミットしてたんだろうけど。
そういった"らしい"曲の一端が垣間見えるのがこのアルバム。
1曲目の「Turning Up The Radio」は前後作のアルバムリードトラック以上にパワーポップしてる名曲で必聴。
なんだけど、それ以外はオリジナルアルバムほどじゃないかなぁ…というのが正直な感想。
第13位 「Red Album」
3枚目になるセルフタイトルアルバム(2008年作)。背景の色からレッドアルバムと呼称される。
前作「Make Believe」の成功を経てのリリースだったが、その作風からしてリリース当初から賛否両論の一作だった。
まず全体的にメローなナンバーが多い点。ギターをガツン!聞かせたパワーポップチューンは少なめだ。
そしてその多くがリヴァース以外がヴォーカルを採ってる点。しかもリヴァースがいつも通りヴォーカルを採った曲はシングルを含めてアルバム前半に集中しており、後半にリヴァース以外のヴォーカルが怒涛の勢いで出てくるのがキツイ…。
パワーポップっぽくないし歌ってるのリヴァースじゃないともはやWeezer聞いてるのか分からなくなってくるぜ…。
リード曲「Pork And Beans」や「Troublemaker」は今まで通りのパワーポップだから始末が悪い。個人的にもアルバム前半はよく聞くけど、後半はほぼ聞かねぇ…。
第12位 「Raditude」
2009年作。
パワーポップなんだけど、いつもより気が抜けてる…そんなアルバム。
インドテイストの曲だったり、ラップ導入だったり、Beatlesにおけるジョージのインド曲みたいな反応に困る曲が数曲入ってるのがどう反応すればいいのか…。リヴァースが色んなとこで客演してるのは別に良い。が、こういう他の要素を持ち込んで…っていうのはよくある話だけどWeezerにおいては上手く行ってないなぁと。
リード曲の「(If You're Wondering If I Want You To) I Want You To」が爽やかなギターポップでWeezerの中でもTOP10に入るくらい好きな曲。
第11位 「Maladroit」
2002年作。
前作「Green Album」リリース後ベーシストのマイキーが脱退したため、今作からスコットが加入。
メタル小僧リヴァースクオモの好みが反映されたアルバム。
リード曲「Dope Nose」「Keep Fishin'」はザ・パワーポップな感じで好きなんだけど、アルバム全体としては今までのアルバムよりもだいぶ音が太い。メタルメタルはしてないけど、ハードロックに足を片一方突っ込んでるみたいな厚みのサウンドなのでそこが好みが分かれそうなところ。
この辺りからWeezerはパワーポップからの脱却を図って色々作風を変えたり、試したりしていくんだけどこれがその第一弾って感じ。
そのせいかポップなのがリード曲くらいなのが個人的には玉に瑕な印象。
第10位 「Hurley」
ジャケ写のホルヘ・ガルシア(個人的にはHawaii Five-Oのイメージが強いぜ
)が印象深い2010年作。
リード曲「Memories」が疾走感のあるパワーポップに仕上がっており、この時期にしては全編通してもパワーポップ色が強いアルバムだと思う。
「Pinkerton」を彷彿とさせる重ための「Where's My Sex?」、サッパリしたアコギから始まり、最後には豪音パワーポップに変貌する「Unspoken」と内容的にも多彩。
ここから4年のブランクを経て、正当派パワーポップアルバム「Everthing Will Be Alright in the End」をリリースするのでそのせいが影が薄くなってしまってる感は否めないが、隠れた名作だと思う。
第9位 「Make Believe」
2005年作。
前作「Maladroit」から3年ぶりとなる新作でプロデュースには大御所リック・ルービンを迎えた。その影響か、Weezerらしからぬスタジアムロックを今作では聞ける。
ハンドクラップと乗りやすいビートでライブで盛り上がる「Beverly Hills」、サビでの合唱が定番となっている「Perfect Situation」といったアンセムも今作から生まれている。このアルバムでWeezerは一躍スターダムな存在に…とまではいかないけどUS2位の大ヒットを記録した。
そんなわけで一番メジャー志向の強く、曲もどれをとっても凄くキャッチー。
そりゃ売れるわ、と思うような質の高いアルバムだと思う。
けど、正直Weezerの作風とスタジアムロック路線は嚙み合ってないなぁ~~と思う。結局スタジアムロック路線はこれ一作ポッキリだったけど結果として1作限りの路線ということで悪くはない。
これがこの先ずーーーっと続いたとしたら考えものだったけど。
第8位 「Black Album」
6枚目になるセルフタイトルアルバム(2019年作)。2016年の「White Album」と対になる黒いアルバム。
今作はピアノを使って作曲した模様でいつもとメロディの乗りが違う。サウンド自体もメインストリームのポップスを参考したような味付けになっていて今までのWeezerとは一味も二味も違った新しい姿を見せてくれた作品。
キャリアが20年を越えてもこういった挑戦的な作風を追求できるのはさすがだなぁ…と思うし、以前のようにパワーポップからの脱却を図っていた頃に比べてもやり過ぎず、きちんとWeezerのサウンドとして昇華できているのがポイント高い。
第7位 「Teal Album」
「Black Album」発売前にサプライズリリースされたカバーアルバム。
以前リリースしたTOTOのカバー「Africa」が久々にチャートインするヒットを記録し、それに触発されて制作されたもの。
80'sを中心に王道も王道すぎるド定番選曲でカバーしており、アレンジも最小限。そのままド直球。ある意味潔いストレートさだ。
これまでもColdplayやRadioheadをカバーしてたりしたけど、その時も素直にそのままカバーしてたし、原曲へのリスペクトをひしひしと感じる。
「Black Album」ほど刺激は無いし、聞く前から何となく雰囲気が分かっちゃうようなアルバムだけどストレートすぎるカバーってことで割と面白くて愛聴してます。
第6位 「Green Album」
セルフタイトルアルバム2枚目(2001年作)。「Blue Album」と同様にプロデューサーにリック・オケイセックを迎えている。
前作「Pinkerton」を最後にベーシストのマットが脱退し、バンドは小休止状態になっていたが今作を引っ提げて復活。ベーシストにはマイキーが参加している。
代表曲「Island in the Sun」を生んだ大ヒットアルバムとなった。
バンドの代表的な1枚でもある今作はこれがWeezerだ!と言わんばかりのパワーポップ節が炸裂。何処を切り取ってもキャッチーなメロでなおかつ力強いバンドサウンドを聞ける。Weezerの曲が持つキャッチーさ、ポップさ、その側面がおそらくバンド史上最も遺憾なく発揮された1枚で、良くも悪くも今作でWeezerのパワーポップは完成してしまった感がある。それゆえ今作以降試行錯誤していくのかなぁと。
第5位 「Pacific Daydream」
2017年作。
「Black Album」制作時に生まれた曲たちの方向性を尊重し、生まれたアルバム。
そんなわけで「Black Album」とは双子みたいな存在でサウンド的にも似通ってる。
こちらの方がバンド的でなおかつパワーポップ風でWeezerらしさが感じられるが、それでもメインストリームのポップスのようなサウンドの作り方であったり、アレンジが今作からも感じられる。
他の特徴としては綺麗なメロディが多いこと。もともとメロディはポップだし、キャッチーなバンドだけど今作は聞かせるメロディラインが多めな気がする。それがアルバム後半にあたる「QB Blitz」とか「Sweet Mary」とかなんだけど、個人的にそれが凄く好みど真ん中だった。
第4位 「Everything Will Be Alright In the End」
2014年作。「Green Album」以来となるリック・オケイセックによるプロデュース。
過激なファンの中には3rd以降は微妙…なんていう人がいるけど、それは3rd以降のパワーポップからの脱却と挑戦の歴史がありまして。まぁしょうがないよね
…って感じだけどそういったファンの溜飲が下がるようなパワーポップアルバムが今作になります。
リード曲含めて1曲ドカン!と印象に残る曲っていうのはないんだけど、アルバム全編通してWeezerらしさが貫かれていて、なおかつQueenみたいな組曲の大団円がラストにあったりするのでアルバム通して聞きたい一枚。
第3位 「Blue Album」
94年デビュー作。 プロデュースはリック・オケイセック。
Weezerと言えばこのジャケ写といった代名詞的なアルバム。
冴えない4人がブルーバックに立ってるジャケ写のインパクトと言ったらもう。。。
もはやパワーポップの名盤と言えばこれ、みたいな所すらあるかもしれない。
Weezerらしい力強いバンドサウンドとポップでキャッチーなメロ、そしてちょっとだけ情けない歌詞という組み合わせはここで完成されている。
ただ今作に残ってるティーンエイジャー的な垢抜けなさは今作にしかないし、唯一無二。デビューアルバムにしか出せないバランスゆえにその圧倒的な支持は納得が
いく。(俺の好みは別にして)原点にして頂点とはこのこと。
第2位 「White Album」
4枚目のセルフタイトルアルバム(2016年作)。
前作「Everthing Will Be Alright in the End」でらしさを取り戻したWeezerがダメ押しに最高のパワーポップアルバムを出してくれたぁ‥‥とリリース当時を思った記憶。そのくらい最高のパワーポップアルバム。
リヴァースのJ-POPサイドプロジェクトScott&Riversで得たJ-POP的な美メロがWeezerに逆輸入されており、歌の強度が今まで以上に強くなっている。アルバムリリース前に半数近くシングルとしてリリースされていたのはその自身の現れじゃないかなと思う。
ひと夏の切なさを感じるアルバム構成もグッときますわ……。
あの頃のWeezerでありつつも、再現じゃなくてアップデートなのが凄いし、さらにあの頃よりも良いと思わせてくれた。来日公演で生Weezerを初めて見た記憶も相まって今作がダントツで1番好きなアルバムです。
第1位 「Pinkerton」
96年作。
1位は「Pinkerton」でした。
「Blue Album」よりももっと激しく自身の内面を吐露したエモーショナルな1枚。もはや諦念すら感じる沈んだ歌詞とノイジーなサウンド、そこにふと射しこまれる美メロに胸をグッと掴まれる。このまま行けば死んじゃうんじゃないかと思うような不安定さに良さを見出してしまうんですよね自分は。ラストの「Butterfly」とかホント危うい。
基本的に根暗な人間なのでこういう音楽には心惹かれます。好き、というよりかはシンパシーを感じるといった方が正確かなこのアルバムには。そういった意味で他のアルバムとは個人的に立ち位置が違う大事な作品。
とりあえずこんな感じです。
気分で変わりますけど、TOP3は不動ですね。
1月29日には「OK Human」が聞けますので、楽しみに待っています。。。
Weezer - All My Favorite Songs (Official Video)