先月、TOTOの来日公演に参加してまいりました!
オリジナルメンバーであるデヴィットぺイチ(key)が不参加というのは残念でしたが、代わりを務めたのがまだ20代であのプリンスとも共演したというDominique "Xavier" Taplinという方でこれが素晴らしかった。。。
もう60歳になろうかという3代目ヴォーカリスト、ジョセフ・ウィリアムズも年を感じさせない張りのある声で圧倒的でしたね。
ん?3代目?
そうです。TOTOには歴代で4人もヴォーカリストが在籍しているんです。
なぜこんなにヴォーカルの入れ替えが多いのか。
それはTOTOが専任のヴォーカリストがいるのにも関わらず、他のメンバー全員がヴォーカルを担当できるなかなか珍しいバンドだから。
代表曲「Africa」もサビこそオリジナルヴォーカリストのボビー・キンボールが歌ってますが、他のメロはデヴィットぺイチが担当。
Toto - Africa (Official Music Video)
他にも「I'll Be Over You」、「I Will Remember」などなど…専任ヴォーカリスト以外が歌ってる曲が代表曲になっていたりします。
極めつけに楽曲の難易度が物凄く高い!
歴代の専任ヴォーカリスト全員が楽曲の難易度にめっちゃ苦労してレコーディングしてその末に消耗して脱退or解雇されていく様子がギタリスト、スティーブ・ルカサーの著書に赤裸々に綴られてます。
スティーヴ・ルカサー自伝 福音書(ゴスペル)――TOTOと時代の「音」を作った男たち
- 作者: スティーヴ・ルカサー,川村まゆみ
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まぁそんなわけでヴォーカリストはコロコロ変わるバンドなんですけど、
意外に脱退後も友好的な関係を築いてたりしていて、
特に初代のボビー・キンボールと3代目のジョセフ・ウィリアムズは後にバンドに復帰しています。
しかーし その中にも1人問題児ヴォーカリストが。
それがTOTO初めてのベスト盤「Past to Present 1997-1990」の新曲のために迎えられた4代目ヴォーカリスト、ジャン・ミシェル・バイロン。
Toto Rosanna Oldenburg 1990 12 08
レコード会社のごり押しで加入した南アメリカのヴォーカリスト。
ごり押しっていうのがまず良い気がしないんですけど、メンバーも同様だったのか彼はベスト盤の新曲4曲とそれに伴うツアーのみで脱退。
前述のギタリスト、スティーブ・ルカサーの著書によると
「俺たちをバックバンド扱いした」とか「ステージングが俺たちと致命的に合わない」とか「俺たちは歩み寄ろうとしたのに奴は殻に籠っていた」とか
結構散々言ってる。
確かに彼は歴代ヴォーカリストに比べても線の細い声だ。
さらにTOTOに持ち込んだ楽曲はR&Bテイストでマイケルジャクソンみたいでまぁ確かに似合ってない。
TOTO - Animal - Live in Paris 1990
ライブ映像を見ても彼だけが奇抜な恰好をしていて浮いている。
普通のロックバンドのヴォーカリストならフロントマンっぽくていいかもしれないが、TOTOは誰もが歌えて、しかも凄腕のプレイヤー。
決してヴォーカリストがメインでは無かったりするのでこれまた場違い感を生んでしまっている。
これだけならレコード会社のごり押しが生んだ悲しい悲劇なのかな?って思うけど
はるばるアフリカから来たバイロンを国も違う、年も離れていて会ったこともないTOTOのメンバーが「面白いだろう」と思って、あまり趣味の良いとは言えない脅かしで歓迎したり、
当時家庭の問題で荒れてたスティーブ・ルカサーがバイロンの首元掴んで、あれこれ言い立てたとか
ぶっちゃけホントにバンドとして彼を受け入れようとしたのか首を傾げたくなってしまうし、「ちょっとバイロン可哀想…」って思ってしまう部分も。
後年スティーブ・ルカサーがクラブで歌ってるバイロンと和解しようとしたという話があるけど結局和解は出来ずじまい。
今では公式サイトに名前も載せられず、バイロンが参加した唯一の作品「Past to Present 1997-1990」はサブスクでも配信されておらず文字通り黒歴史扱い。
当時はスティーブ・ルカサーだけでなく、TOTOとしてのバンドの状況も良くなかったので加入時期が悪かったということもあるんでしょうか…。
そんなわけで最後にバイロン在籍時の名曲「Out Of Love」を。
これだけの曲が黒歴史扱いで埋もれるのはもったいないなぁ。
再評価とはいかないまでもサブスク解禁で聞く機会くらい設けてほしい所だ。
Toto - Out Of Love (Video Version)