Aqua Timez 1st Album。
2006年12月6日リリース。
メジャー初のアルバム。
前作を最後にドラマーのアビコが脱退していたが、今作では後任としてTASSHIが加入してドラムを担当している。
シングル「決意に朝に」、「千の夜のこえて」、配信限定でリリースされた「いつもいっしょ」等を収録。オリコンチャートは6位であったが、ロングヒットし30万枚のセールスを記録した。
冬仕様の三方背ボックスのウインターパッケージもリリースされている。
今作も後追い。
リリースから約1年後に「ダレカの地上絵」と一緒に親に買ってもらった記憶がある。
ただシングル「決意の朝に」を親に買ってもらっていたので、Aqua Timezというバンドは既に認識していた(まだ当時アーティストのアルバムは持ってなかった)。
今作から本格的にAqua Timezはメジャーなアーティストに仲間入り。
「決意の朝に」を筆頭にヒットチャートの曲と並べても全く見劣りしない楽曲のポップセンスが開花していく。
一方で今までのようなミクスチャーロック路線の楽曲も随所に差しこまれており、ロックバンドとしての気概を感じさせる。アマチュア時代の重要曲も収録されており、ポップスありロックあり、のまさに初期Aqua Timezの集大成といった趣きを感じさせる。
「1mm」
初のフルアルバムのオープニングとなるこの曲。
平メロがラップでサビでキャッチーなメロディが来る、今までの定型パターンなんだけど今までの前2作とは異なる感触を感じる。
サビのメロディが確実に力強くなっているのも一因だけど、
今まで詰め込み気味だった歌詞もスッキリとしてメッセージ性もストレートに伝わるようになってるし、
サウンド面では曲全体を壮大に彩るストリングスアレンジが楽曲のスケールを一段も二段も大きくさせている。
最初から順を追って聞いていくと「メジャーデビューしたんだな…」ということを一番強く感じさせる曲。
「星のみえない夜」
「星のみえない夜」なんて曲名を聞くと、結構暗いネガティブな歌詞なのかなと一瞬思うけど、1番からラストサビに掛けて空が徐々に開けていって最後は「星のきれいな夜」と変わっていく…凄く前向きな歌詞でビックリした記憶がある。
「決意の朝に」以降はこの曲みたいに歌詞に暗い部分はあっても、
明確に前向きなメッセージを提示していくことが多くなるんだけど、凄く良い変化だと思うし、爽やかなポップロック調なのも凄く合ってる。とても晴れやかな曲だと思う。
「No rain,No rainbow」
ゆったりとしたリズムに乗せて紡がれる「決意の朝に」へのアンサーソング。
アルバム上ではこの曲と次の「決意の朝に」はほぼシームレスに繋がっている。
「決意の朝に」はタイアップの先の作品の主人公が小学生ということで、そういった層にも通じる歌詞だったんだけど、
この曲の歌詞は言い方は悪いけど、社会に揉まれて純粋さを忘れた大人っぽい視点。
その分、歌詞の前向きさがもう少し現実的になってる感じがする。そういった意味での"アンサー"なのかなと個人的には思っている。
「決意の朝に」はもう少し芯だけを抜き出したメッセージ性だけど、そこに内省的なモノを包括した完全版みたいな?そんなイメージです。
「決意の朝に」
1stシングル。アニメ映画「ブレイブストーリー」の主題歌として起用され、20万枚を超えるセールスを記録した代表曲。
配信で日本レコード協会からはトリプル・プラチナ認定(75万セールス相当)されている。
この曲のヒットにより、2006年、紅白歌合戦に初出場を果たした。
ライブではリリース後ほぼすべてのライブで演奏されていて定番曲でもある。
満を持してのメジャーで初のシングルで初の大型タイアップを貰い、
曲自体も書き下ろしに近い形で作られたみたいで、相当力が入っていたのが見受けられる。
そんなこんなで作られた楽曲は明確に前向きなメッセージ性の強い歌詞とキャッチーで一発で耳に残るメロディで、客観的に見てもこの完成度は売れるよなって思う。
あんまりの進化っぷりにプロデューサーが付いたのかな?と一瞬思っちゃうけど、Aqua Timezは基本プロデューサーを立てない方針でずっっと曲作ってきたし、メジャーでやっていく決意と共に一気に太志のポップセンスとバンドとしてのアレンジ力が開花したような印象だ。正直前2作のミニアルバムからは想像もできない成長っぷりだと思う。
個人的に「決意の朝に」は初めて買ったCDの1枚であるので思い入れも一段と強い。
CMで流れてた「辛いとき辛いと言えたらいいのにな~♪」が妙に耳に残って、「ブレイブ・ストーリー」を見に劇場へ。エンディングで初めてこの曲をフルで聞き、その後CDを買いにいった記憶がある。
タイアップソングということもあって「ブレイブストーリー」の作品に寄せた歌詞ではあるんだけど(作品の主人公ワタルの心情を描いてる感じ)
誰にでも通じる普遍的な内容でもあって、なおかつ力強い。
「自分らしく」って理想的ではあるけど、
自分らしく生きていくって口で言ってもそう簡単ではない。そこにヘタクソでもいいからと自分らしくと歌ってくれる歌詞が凄く勇気をくれる。
直接的な後押しをしてくれるわけじゃないんだけどこの前向きさに救われてきたし、これからも救われるんだろうなと思う。普遍の名曲。
Music Videoが存在している。
リリース当時はサポートメンバー扱いだったドラムのTASSHIも普通にメンバー級に映りまくってる。
インディーズの頃の太志のダボっとした服装も変わり、リリース当時が夏だったということもあってか、他のメンバーも含めて爽やかなビジュアルに。
それにしてもこのメンツでOKPのドレットは強烈なインパクトあるよな。
「ハチミツ ~Daddy,Daddy~」
太志が父との思い出を歌った曲。
今までにもこの事が曲中で触れられていたこともあったけど、
太志の父は太志が若い頃に亡くなっているそうで、それを踏まえて聞くと凄くパーソナルな曲なんだなと感じる。
特に歌詞が最初と最後で繋がりがあるのも、少年から大人との時の流れと成長を感じて切ない気持ちになる。
個人的には社会に揉まれて疲れ切っている中でこの曲を聞くと「休んでいいよ」と言われてるみたいで凄くホッとするような感覚を覚える。
「千の夜をこえて」
2ndシングル。アニメ映画「劇場版BLEACH MEMORIES OF NOBODY」主題歌。
2006年から翌年にかけてロングヒットを記録し、12万枚のセールスを記録。
配信においては2014年に日本レコード協会よりミリオン認定を受けており、Aqua Timez初のミリオン達成曲となった。10年代にはDJ和のコンピ盤などにも収録され、幅広い世代に支持される人気曲だ。
自分らしくあることについて歌った「決意の朝に」とは打って変わり、
この曲は好きな人に好きと伝える勇気を歌った曲(勇気という意味では共通している)。
「等身大のラブソング」とこの曲が比較的知名度が高いのでAqua Timezのパブリックイメージがラブソングみたいになっている一因でもあるのかなと。
ただこの曲は告白を後押しするような歌詞だけど、告白そのものというよりもその決意を下すことにこの曲の肝があるのかなと個人的には思っている。
君を幸せにするとか愛してるとかそういう歌詞は無いし、
あくまで自分の中での自問自答が歌われていて、たとえ報われなくても「好きな人に好きと伝える それはこの世界で一番素敵なことさ」とその決意を称える歌詞で締めくくっているのが象徴的だと思う。
ストリングスアレンジとアコースティックギターの優しいサウンドが特徴的だが、歌詞の世界観にピッタリ合ってると思う。
Music Videoが存在している。
「決意の朝に」とはシックの色合いの映像と対照的に冬っぽいビジュアルが特徴。
初めてメンバーの演奏以外に俳優が出演するドラマパートも存在しているが、カラオケで歌う時に流れる陳腐なドラマ映像並みに中身がうっすい。
Extra
「決意の朝に」C/W 「淋しき我ら」
シングルの3曲目に収録されている。
ゆったりとしたリズムでホンワカするポップス路線の楽曲かな?と聞いていくと
サビでギアチェンジし、アップテンポになってゴリゴリロックに変貌。
個人的に今作は最初に買ったCDの1枚だったし、「決意の朝に」のイメージのまんまで聞いていったらこんなサビだけ急に変わる曲に出会ってしまって、めっちゃくちゃビックリした記憶がある。