3月18日、上田麗奈が3年ぶりとなるアルバム「Empathy」をリリースした。
上田麗奈という声優をちゃんと認識したのはたぶん…「サクラクエスト」だったような気がする。
彼女が演じていた四ノ宮しおりちゃんの「だんないよっ」が作品の癒し要素になっておりまして、彼女の虜になった視聴者は数知れず(多分)。
個人的には2018年放送の「SSS.GRIDMAN」のアカネ役が印象深い。オタクが大好きそうな外見と性格の中に狂気を孕んでて、文字通り作品のキーマンだったわけでなかなか強烈だった。
そんなこんなで上田麗奈という声優に多少興味があったわけで、ソロデビュー作「RefRain」もその流れで聞きました。ふむふむなかなか良いじゃんと。これは好きな声優アーティストが増えるかもしれん、と
ただそっからが長かった。
シングル「sleepland」は出たものの、本格的に音楽活動が動きだす様子もなく
その間に自分はすっかりTrySailオタクになってしまった(笑)
ただ別に忘れていたわけじゃないのでこうして「Empathy」をフラゲして記事を書いてるわけであります。
まず3年前の前作「RefRain」は
歌うことが苦手という彼女が色んな人の助けを借りつつ"歌"というファクターを通して自分を表現した…といった内容でした。
ジャンル的にはクラシカル、アンビエント、エレポップといった曲が並んでおり、
また彼女の性格に起因するのか歌詞は内省的な内容のモノも多くて、一言で言えばアーティスティックなアルバムだなぁというのが僕の感想。
そして新作の「Empathy」。
まず先行で公開された「あまい夢」を聞いてぶっ飛んだ。
「RefRain」のイメージからは想像できないような
明るくてキュートな極上シティポップじゃん……。こういうの大好き。
凄く幸せそうな空気感を出してるのにそれを俯瞰で見てて、そこに自分は入れないみたいな歌詞観が良い…。
割とアルバム前半はこの「あまい夢」のようなシティポップテイストの曲が続くんだけど、前半部分はもともと制作予定になかったとか。
確かに今までの彼女には無いタイプの曲だけど、こういうテイストも似合う。
アルバム後半部分は
「RefRain」にも通じるようなテイストの曲も出てくるけど、
聞いてて感じたのはやっぱり明るくなったなぁと。
そしてそれはやっぱり「RefRain」とのテーマの違いが大きいのかなと思う。
「RefRain」は自分はこういうものだという自己紹介的なものだった。物語的なコンセプトも感じられて、あの作品で「表現したいものが空っぽになってしまった」というのも納得できる。もともと歌うのが苦手な人だしね。
それに対して今作は「今まで演じてきたキャラクターに共感(Empathy)できた部分」が1曲1曲のテーマになっていることが挙げられている。
それぞれのキャラクターを演じたことで気づいた感情や気持ちをテーマに楽曲が作られているので、曲ごとに感じる感情がバラついているというか、そんな気持ちになることもあるのか…というくらい幅広い。
これは決してネガティブな意見ではなくて、まさに"彼女が目指した自分も気づけなかった感情との出会い"を追体験できた…という感覚である。
本人の性格的な所からか歌詞からはネガティブな面もやっぱり感じるんだけど、
それでも
「RefRain」から「Empathy」では明確に対自分から対他人へ変わっていて、
なおかつ「あまい夢」みたいなキュートな曲が生まれて、「一生やらない」と思ってたライブが開催されることから、彼女自身が"出会い"と共に心境の変化があったんだろうなと。
そして聞く人にそれまで自分ですら気づかなかった感情の”出会い”と共に
雪解けとともに暖かい光で春の訪れを告げてくれるような素敵な作品だと思いました。
久々のリリース、ただでさえまだ歌うことに苦手意識のあるうえしゃま。こんな素晴らしいアルバムを出してくれたので、
今後も音楽活動していただけるようにぜひみんな聞いてくれ!!!