「滲み続ける絵画」
声に加工を掛けてる辺り昔の「独り言」なんかを彷彿とさせるけど、
「アダムの覚悟」にも近い浮遊感のあるロックチューン。
アルバム引っ提げてのツアー「Shoes and Stargazing Tour」ではなぜかセトリ外れていたんだけど、収録日の公演ではセトリin。MCでツアーでやらなかったから映像が残したかった旨を語っている。
こちらもOKPが作曲を担当している。
「ゴールドメダル」
Aqua Timezの中では割と王道なロックチューン。
音のスキマとかメロディの載せ方はもはや昔と全然違うけど、音の感じはミクスチャーロックやってた頃の昔の彼らっぽさの匂いを感じる。
このロックさに「君らしく生きることにおいて君はゴールドメダリスト」
というストレートなメッセージを載せる!とびきりキャッチーなメロディにする!というのも
"歌詞とメロディを最も活かす"という今作の方針が強く出てるんじゃないかなと思う。
「hey my men feat.OK.Joe」
ホラー映画のメインテーマみたいなイントロから
何が始まるんだ!?と思わせられるけど、まさかのヒップホップ。しかも詞はラーメンネタ。前作の「鉛色のフィクション」でもラーメンを彷彿とさせる詞は出てたけど、
ここにきて全開放。
曰く太志がMV撮影にむけての心情についてのラップ。ひたすら食について歌ってる。
OK.Joeの気の抜けた合いの手もヘンテコ感をさらに高めている。歌詞の悪ふざけっぷりは過去最高だが、今作以降もこの路線はアルバムに1曲は入ることになっていく…。
なぜかは知らないがツアーのセトリからもハブられてる。
「Fly Fish」
エレクトロ&ファンキーなダンスミュージック。
リリース直後は「The FANtastic Journey」と共にライブの盛り上げ曲として披露されていたが、サビの歌詞に合わせて左右交互に腕を振るのが定着してきた辺りでライブでの一体感を得られる唯一無二の楽曲に変貌。
リリース後のライブではほぼセトリ入りする後期Aqua Timezには欠かせない曲となった。もちろんラストライブでも披露された。
「The FANtastic Journey 」
シングル「エデン」C/W。
今作においては一番ヘヴィな音をしてるのはこの曲。なんだけど、ノリがレゲエっぽかったり、岐阜弁で歌うパートがあったりと歌詞が音のわりに親しみやすい感じだったり、
ストレートなロックチューンにはなってないちょっと捻った感のある曲。
「Wow Wow Wow!」などとコール&レスポンスするパートがあったりするので
ライブでは一時期盛り上げ役を担っていたが、コール&レスポンスよりも簡単な振りで一体感を得られる「Fly Fish」に徐々にその立場を奪われてセトリから外れるようになっていった。
「手紙返信」
3rd配信限定シングル。
「Aqua Timezがこれまで受け取ったファンレターに返信をしたい」という気持ちから制作されたバラード。
寄せられたファンレターに綴られた悩みや苦しみに対して
太志も自分の弱さを曝け出してそれに向き合って歌詞を書いたという。
ここ最近は割とストレートに前向きな曲が多かったので、ここまで自分を見つめて悩みや苦しみをストレートに描いた歌詞というのは久々。それこそ初期の頃の歌詞の空気感をちょっと感じる。
やっぱりこの暗闇の中から差し込む光、みたいな感覚がAqua Timezの芯の部分だよなぁと思う。
正式リリース前にデモ音源がYoutube上にアップロードされ、ベストアルバム「10th Anniversary Best BLUE」のteam AQUA盤に収録も去れている。
Music Videoが存在している。
便箋の上に歌詞が綴られるというリリックビデオみたいなテイストに仕上がっている。太志の出演も最小限であくまで「手紙を返信する」ために言葉綴られているような演出になっていて、この曲の良さをさらに際立たせている。
「エルフの涙」
アルバムのラストを飾るファンタジックなバラード。
ちょっとクラシカルな雰囲気もあるけど、ショパンの「別れの曲」に曲構成等でインスピレーションを得ているからだそう。
この曲は曲中で歌詞の少年が大人に成長する時間の流れが表現されていて、歌詞の視点も主人公からそれを見守る立場の大人へ変わっていく。
「手紙返信」もそうだったけど、この辺りから歌詞のメッセージの出し方が何かに対して当事者から、それを導く大人側に変わって行ってるなぁと。凄く頼もしい感じ。
勿論そこに内省的な部分は含まれるし、一概に全部がそうとは言わないけど、
歌詞の視点が変わったことで歌詞に対しても大人としての向き合い方とかが見えてきて、バンドとして伝えたいメッセージの有り方も変わっていっているんだなぁと感じた1曲。
「アイトワニ」
TeamAQUA盤のみ収録。
ベースのOKP(OK.Joe)、ギターの大介(Die'A'Monde)、ドラムのTASSHI(タッスィー)による変名バンド・タランチュラによる楽曲。
作詞作曲はOK.JoeということでOKPが担当。メインヴォーカルもOKP。
Aqua Timezとは異なり、ゴリゴリのロックンロール路線。
剥き出しのロックバンドっていう感じの音がAqua Timezには無いモノなので凄くカッコいんだけど、
狙ってるであろうダサい詞とOKPのねっとり歌唱がおふざけと紙一重な感じはある。
Extra
「エデン」C/W「クランベリージャム」
北乃きいに提供した「ラズベリージャム」のアンサーソングとして制作された楽曲。
「ラズベリージャム」がファンタジーっぽい歌詞にポップな味付けの曲だったのに対して、こちらは現実に目に向けた内省的な歌詞&多国籍風のサウンドが特徴的なミディアムバラード。
アンサーソングということだけど、結構真逆のアプローチをしてる2曲だと思う。
歌詞だけで言うと今作における「イヴの結論」辺りをメッセージ性は近いかも。