新作に向けてのJourneyアルバム振り返り記事5こめです。
今回はスティーヴ・オウジェリ―脱退後にアーネル・ピネダが新ヴォーカリストとして加入したRevelation以降の作品を取り上げます。ではいきましょ!
Journey『Revelation』
2008年6月3日リリース。
・ロス・ヴァロリー (bass)
・ジョナサン・ケイン(keyboard)
・ディーン・カストロノヴォ(drums)
・アーネル・ピネダ(vocal)
13thアルバム。
前作リリース後の2006年のツアーでヴォーカルのスティーヴ・オウジェリ―が喉を傷め、一時的にバンドを脱退。
急遽サポートとしてニール・ショーンと共にバンド活動もしていたジェフ・スコット・ソートがヴォーカリストとして参加することに。
結局オウジェリ―はバンドに戻ることが出来ず、ジェフがそのままバンドに在籍することになったが、翌2007年にはニール以外とのメンバーの不和により早々に脱退。Journeyは活動休止状態になってしまう。
活動休止中にバンドはヴォーカルを探すことになるが、Youtube上でJourneyの曲を歌うアーネル・ピネダを見つけ、オーディションの末にバンドに加入することが決定。
そのままアルバムレコーディングに入り、完成させたのが「Revelation」である。
新曲で構成されたDisc1と過去曲のセルフカバーを収録したDisc.2の2枚組構成となった今作はリスナーからも受け入れられ、全米5位という再ヒットを飛ばすに至った。
フィリピン出身のアーネルの加入によりアジア圏のファン層も獲得し、バンドは再び活動を軌道に乗せることになった…。
というのが今作。
前作、前々作の商業的失敗が嘘みたいに華麗なる復活を遂げたJourneyだが、ソングライト自体は実はそんなに変わってない。「Arrival」も「Generations」も普通に良い曲書いてたし、今作だけがめちゃくちゃ優れてる!っていうわけではない。
が、が!!
アーネルという逸材を見つけたバンドが復活するために、明確にヒットを目指したんだなぁっていうのはヒシヒシと伝わってくる。
まず曲。
ソングライト面での変化はそこまで無いが、明らかに全盛期Journeyの曲調に寄せたサウンドやアレンジをしていて、
なおかつセルフパロディ?とも言えなくもない、過去曲に寄せたリフやメロディ、曲構成を登場させており、賛否はありそうだが、昔のファンにキチンとアピールしているような恰好になっている。
Disc.2のセルフカバー集も同じ理由で作ってそうだし、それが功を奏して再ヒットを飛ばすことが出来たんだなぁっていう感じはする。
ただ、それもこれもアーネル・ピネダという逸材を発見できたから。
前任のオウジェリ―よりもペリーに近い声質で、なおかつペリーよりもアグレッシブでパワフルな彼のヴォーカルスタイルはまさにペリーを求めるファンにも答えつつ、新しいJourneyをアピールできる最高の人材で、
Disc.1の新曲群がただのセルフパロディに陥らずに、単体でも煌めいて見えるのは明らかに彼のおかげ。まんま「Faithfully」な「After All These Years」はホントまんまだけど、ペリーの模倣じゃない完全にアーネルの曲にしか聞こえんもん…。
まぁヴォーカリストとしての実力は加入直後ということもあって、まだまだ未完成だけどそれを補っても余りある出来だと思う。
2009年のライブ映像。たった1年で音源からの成長っぷりが著しい。
Journey『Eclipse (ECL1P53)』
2011年5月24日リリース。
・ロス・ヴァロリー (bass)
・ジョナサン・ケイン(keyboard)
・ディーン・カストロノヴォ(drums)
・アーネル・ピネダ(vocal)
14thアルバム。
アーネル加入後2作目となる本作。前作ほどでは無いものの全米13位を記録し、人気の復調っぷりをアピールした。
またアーネル加入にまつわるドキュメンタリー映画「ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン」が今作に合わせて公開されている。
今作の特徴は作風のハードロックさ。オウジェリ―在籍時の2作目「Generations」がハードの仕上がりな作品であったが、あれすら上回る。
明らかにニール主導のハードロック路線であり、ジョナサンの手によるメロディアスなバラッドはかなり抑えめ。しかも1曲1曲が5分越え、6分越えが普通に当たり前でアルバム自体がかなり長尺。
前作がパブリックイメージのJourneyに寄せた作風だった反動からか、だいぶやりたい放題のニールショーンである。
この辺がどうやら賛否を呼んだみたいで、個人的にもまぁ確かにJourneyにしては激しすぎよなぁ‥‥と思う。
アーネルのヴォーカルは前作からかなり成長して、表現力も豊かになり素晴らしい限りであるが、今作はザ・Journeyみたいな曲が少ないので活かしきれる場が少ないのが残念でならない。
それでもシングル「City Of Hope」は名曲だし、ジョナサンのセンスが冴えわたるパラーバラード「TANTRA」が貫録すら感じられる完成度だ。
だからこそ、今作の次の一手が凄く気になるんだけども…
Journeyは今作を最後に音源製作から遠ざかり、ライブが主体の活動に移行。
80年代の作品「Escpae」「Frontiers」の日本での再現ライブを納めたライブ作品がリリース出たり、
2017年にロックの殿堂に入ることが決定し、式典にはスティーヴ・ペリーを含む歴代メンバーが集結したりと
様々なニュースはあったものの、音源製作には至らず…。
この間にもメンバー変遷はあり、
「Arrival」からドラムスを担当してきたディーン・カストロノヴォがDV疑惑で2015年にバンドを解雇され、
全盛期のバンドを支えたスティーヴ・スミスが復帰したり、
そのスティーヴ・スミスとロス・ヴァロリーが2020年にニールとジョナサンとバンドの運営会社を巡るトラブルに発展し、ペリーと元マネージャーを巻き込む裁判沙汰にまで発展した挙句バンドを去ることになったり…と
あんまりよろしくないニュースもあったりした。
音源製作の兆しが見えたのはコロナによるライブ活動が思うようにいかなくなった2020年。
ロス・ヴァロリーの後任には「Raised On Radio」でベースを担当したランディ・ジャクソン、スティーヴ・スミスの後任にはナラダ・マイケル・ウォルデンが付くことになり、
バンド再編成と共にアルバム制作に突入。
そして2021年、10年ぶりとなる新曲「The Way We Used To Be」が公開。
2022年には11年ぶりとなる新作「Freedom」がリリース予定である。
(リリース日は未定)
新作にはナラダ・マイケル・ウォルデンとランディ・ジャクソンが製作に関わっているようだが、現時点でどちらも既にバンドを抜けているようで
2022年現在、通常メンバー(ニール、ジョナサン、アーネル)に加えて、ドラムスはディーン・カストロノヴォ、キーボードはジェイソン・ダーラトカ、ベースはトッド・ジェンセンがライブに参加している。