新作に向けてのJourneyアルバム振り返り記事2こめです。
スティーヴ・ペリーが参加する「Infinity」から創設メンバーであるグレッグ・ローリーが脱退する「Captured 」までを振り返ってます。
サウンドトラックである「Dream,After Dream」は作品の性質上、今回はスルーしてます。
Joruney 『Infinity』
1978年1月20日リリース。
・グレッグ・ローリー (vocal,keyboards)
・ロス・ヴァロリー (bass)
・エインズレー・ダンバー (drums)
・スティーヴ・ペリー (vocal)
4thアルバム。
3rdアルバム発売後に初めての専属ヴォーカリストとしてロバート・フライシュマンが加入、ライブ活動や楽曲制作に参加していた。
しかし、バンドのマネージャーの判断によってスティーヴ・ペリーが代わりにヴォーカリストとしてバンドに参加することになり、今作からJourneyはヴォーカリストを含む5人編成のバンドになった。
スティーヴ・ペリーの加入でバンドは大きく変化した。
というか一人の人間が加入しただけでここまで変わるか?っていうくらいめっちゃ変わった。
ヒットチャートを意識したポップでキャッチーなシングル作りが為され、そこに圧倒的な存在感を見せるペリーのヴォーカルと演奏陣の間違いない技術力が加わり、
コアなファン向けのバンドから一気に大衆に向けて曲を発信できるビックバンドへとスイッチが切り替わった。この辺がペリー加入以前と加入後でJounreyが別バンドと言われる所以でしょうね。
ペリーは加入直後のアルバムでありながらも、楽曲制作に10曲中8曲も参加しており、そのソングライティング力の高さをいかんなく発揮している。
参加した曲はどれも今までの3作には無かったような華やかさと突き抜けるようなポップさがあり、今作でようやくJourneyの曲には歌心が宿ったような感覚すら覚える。
事実、今作でJourneyは「Wheel in the Sky」「Lights」といったヒット曲を初めて出すことが出来た。アルバム自体もチャート上位にランクインする成功を収めた。
が、これが面白くないのがドラムのエインズレー・ダンバー。
ポップス路線により演奏陣の個々の見せ場が大幅に減ってしまい、それに不満を覚えたのか、ダンバーは今作を最後にJourneyを脱退した。
ダンバーが参加した最後の作品になったが、今作では彼が参加しているからかまだ前3作までのプログレ&ハードロック路線の風味も微かに残っており、まだ完全にポップス路線に移行しきれてないのが伺えるし、ポップス路線へのアプローチの仕方も試行錯誤って感じもあって過渡期作品だなぁ~という感想ももったりしてます。
Journey『Evolution』
1979年4月5日リリース。
・グレッグ・ローリー (vocal,keyboards)
・ロス・ヴァロリー (bass)
・スティーヴ・スミス (drums)
・スティーヴ・ペリー (vocal)
5thアルバム。
前作を最後にエインズレー・ダンバーがバンドを脱退し、後任としてスティーヴ・スミスが加入した。
ジャケ写が前作を瓜二つだが、内容的にも前作の延長線上にある作品といった趣き。
今作からは「Lovin,Touchin,Squeezin」が全米16位にチャートインし、いよいよ大ヒット前夜って感じ。
急激なポップス化が図られた前作から今作はさらに楽曲がポップになっていて、ガッツリメロディを聞かせる曲が増えて凄く聞きやすい。いわゆる80年代の全盛期Journeyの原型は今作で完成された気がする。
また今作から参加してるスティーヴ・スミスはもともとジャズ方面で活躍していただけあって前任とはまったく毛色の違うドラミングだが、彼のタイトな音がポップになったJourneyの楽曲にはピッタリとハマっていると思う。
一方で曲はポップでキャッチーではあるものの、前作の「Wheel in the Sky」「Lights」ほど突き抜けたアンセムが欠けていて、粒ぞろいではあるが、横一線なアルバムという感覚もある。次回作からJourneyは一段も二段も飛ばしてヒット街道を駆け上がっていくのでそれに挟まれてやや不遇な立ち位置にいる作品なのかもしれない。
Journey『Departure』
1980年3月29日リリース。
・グレッグ・ローリー (vocal,keyboards)
・ロス・ヴァロリー (bass)
・スティーヴ・スミス (drums)
・スティーヴ・ペリー (vocal)
6thアルバム。
「Any Way You Want It」が全米23位、アルバムが自身初のTOP10入りとなる全米8位のヒットとなり、文字通りJourneyの成功を決定づける1枚となった。
Jounreyの全盛期は今作から「Raised On Radio」までを指すことが一般的には多い。
よくJourneyが括られることが多い"アメリカンプログレハード"的な側面は今作から急速に強まっていく感じがあるが、
実は今作からプロデューサーが変わっており、この影響からかスケール感のあるスタジアムロック的なアプローチのミックス、アレンジが増えたのかなと思う。
シングルで後に代表曲の1つにもなった「Any Way You Want It」がその顕著な例で
ポップでキャッチーなメロにスピードとスケール感を持ち合わせた曲展開、
プログレ的なアプローチから一歩引いて、少ないフレーズで最適に曲を彩るリズム隊の演奏が上手い具合にマッチしており、この時点でのJourneyの最高到達点に届いた感すらある。
また、ポップ一辺倒だった前作に比べるとメリハリのある曲構成になっていて、A面はキャッチーでポップ、B面はシットリとメロウなハードロック路線と全編聞きごたえがあり、個人的にはグレッグ・ローリー在籍時のアルバムでは今作がJourney最高傑作かなと思ってる。
Journey『Captured (邦題:ライブ・エナジー)』
1981年1月30日リリース。
・グレッグ・ローリー (vocal,keyboards)
・ロス・ヴァロリー (bass)
・スティーヴ・スミス (drums)
・スティーヴ・ペリー (vocal)
Journey、初のライブアルバム。
前作「Departure」以降には彼らが手掛けた映画のサウンドトラックである「Dream,After Dream」がリリースされており、そこからわずか2カ月足らずでのリリースとなっている。
なお今作を最後にこれまでニールと共にバンドを牽引してきたグレッグ・ローリーがバンドを脱退している。
前作「Departure」を引っ提げてのツアーは延べ89公演行われて、そこから抜粋された16曲が収録されている。
収録範囲は「Infinity」から「Departure」からのみとなっているが、公演自体では1st~3rdまでの初期楽曲も取り上げられていた模様。
スティーヴ・ペリー、スティーヴ・スミスが加入後のポップ路線の楽曲のみが披露されているライブ作品となっているが、
音源では抑えられているリズム陣の躍動感がこれでもかっ!というくらいに伝わってくる。特に前任のエインズレー・ダンバーに比べるとやや控えめなドラミングな印象を受けていたスティーヴ・スミスだけど、ライブだとバチバチに叩きまくっている。
スミスに限らず、他の演奏陣も音源に比べるとかなり弾きまくっていて、Jounreyというバンドのもともとがどういうとこから出てきたのかが伺るライブバンドっぷりを感じさせてくれる。
それに真正面から向き合って負けてないスティーヴ・ペリーもヴォーカルもさすがというしかない。
「Escape」「Frontiers」といった代表作が出る前の作品なので後追いで聞くと選曲に偏りは感じるけど、最近セトリからずっと外れているような曲も聞けるし、
何よりバンドに脂が乗り切った最高の状態のライブを聞けるっていうことで文句のつけようのないライブ盤になっていると思う。
17曲目の「The Party's Over (Hopelessly in love)」のみスタジオ録音の新曲。今作収録時にはグレッグ・ローリーは脱退済みであり、スタジオミュージシャンがキーボードを担当している。
(Escapeリリース後のライブ映像)