はい、別にシリーズ化してるわけでは無かったけど、いつの間にか第3弾。
アーティストの個人的アルバムランキングです。
第1弾と第2弾はこちら
今回は10月に通算10作目となるオリジナルアルバム「Moon Music」をリリースするColdplayです。
最近よく聞いてたし、新譜も出るし、タイミング的にも良いかなという感じです。
第9位 「X&Y」2005年
3rdアルバム。
先行シングル「Speed of Sound」がUSで初のTOP10入りを記録し、その勢いのままアルバムでも1位を獲得し、アメリカでの人気を確固たるモノにした一作(もちろんUKでも1位)。
この次のアルバム「Viva La Vida or Death and All His Friends」では大きく音楽性を変えるため、初期のギターロックの空気感を残した最後のアルバムともいえる。
このアルバムを個人的なアルバムランキングのワーストにした理由はたった一つなんだけど…アルバムが長いこと笑
曲自体は悪くないし、好きな曲も何曲もあるんだけど、キャリアの中で最も長い収録時間(1時間越え)だし、加えてサウンドが前2作と比べてもスケールアップしてどれも渾身の一曲みたいな力の入れっぷりでアルバムとして通して聞くと胃もたれして、振り返ってみるとシングル曲以外はあんまり印象に残らない…的な。
作風的には内省的で如何にもUKロックっていう感じから、現在のColdplayを象徴するようなポジティブな雰囲気に変わりつつあって、今と昔のColdplayの中間…みたいな印象が個人的にあるんだけど
この方向性の展開の最中的な中途半端な感じも前後のアルバムに比べて、集中を欠いてるように感じられてしまって、個人的にはワーストかなっていう感じです。
第8位「Music of the Spheres」2021年
9thアルバム。
現時点での最新作。
BTSとコラボした「My Universe」が2008年の「Viva la Vida」以来となるUSシングルチャート1位を記録した。
"架空の惑星系である“The Spheres”を舞台としたコンセプトアルバム"だという今作。
楽観的で前向きなポジティブパワーを宇宙規模で解き放つ、過去一スケールのデカいコンセプトだが、やってることは2011年の「Mylo Xyloto」を端に発して展開されるポップロックであり、いつものColdplay感。というか前々作の「A Head Full Of Dreams 」がほぼ同じ路線なのでさらにその印象を強化してる感じはある。ちょっと前にも同じようなの事やったじゃん!的な。
内容としては「People of The Pride」では急にMuseばりのスタジアムロックをやりだしたりしてるが、他にはとびきりのポップスと泣きのバラードと安定感のある曲が並ぶ。悪くは無いけど、過去の作品と比べると…といった印象です。
アルバムが40分ちょっとしかない(ラストは10分越えのバラード)のでサラっと聞けるのがお気に入り。
第7位 「Mylo Xyloto」2011年
5thアルバム。
タイトルのMylo Xylotoは造語。
前作同様、ブライアン・イーノもプロフェッサーとして参加している。
前作「Viva la Vida or Death and All His Friends」を挟んで、ブリティッシュロックの枠を超えたスケールの大きなサウンドに。今作では特にシンセサイザーを多用したカラフルで煌びやかなアレンジがされていて、当時流行っていたEDMにも目配せしてる感じ。
核がバンドサウンドなのは変わっていないけれども、リアーナを客演に迎えていたりと初期のギターロックからは距離を置いて、メインストリームの曲と並べても遜色無いポップスとしての方向性を採った1作ですね。
とにかくポップでキャッチーなので聞きやすくはあるけども、派手派手なアートワーク、MVなどなど…明確にバンドのイメージが変わってしまっているので前作同様に初期作から聞いていくとなかなか強烈な変化だな笑
第6位 「Viva La Vida or Death and All His Friends」2008年
プロデューサーにブライアン・イーノを迎えて制作された4thアルバム。
ウジェーヌ・ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」がジャケットに起用されている。
今作からの2ndシングル「Viva La Vida」はiPodのCMソングとして起用され、UK、そして自身初となるUSシングルチャート1位の大ヒット。その勢いのままアルバムもUK,USともに1位を獲得。日本でも3位を記録する好セールスを記録した。
一般的にはシングルにおける最大のヒットとされる「Viva La Vida」であるが、実はこの曲を含めて今作はColdplayのディスコグラフィの中でも異色の一作だと思う。
これまでの3作品のギターロック路線から離れて、より壮大にスケールアップしたスタジアムロックにクラスチェンジ。それだけなら正当な進化っぽいけど、今作における全体的に異国感の漂うサウンドの味付けもあって突然変異的な作風変化でビックリするんじゃないかなと思う。
今はこれはこれで良いじゃん!って思ってるけど、個人的に初めて手に取ったColdplayのアルバムが今作で「こういう異国情緒のあるサウンドのバンドなんだ…」と完全に勘違いして、
「そんな好みじゃないし、積極的に聞かなくていいか」となり、しばらくColdplayはそういうバンドだという認識で他の作品を聞かず、ハマるまでだいぶ遠回りした苦い思い出があるので、そういう意味で個人的には罪深い作品でもある笑。
第5位「Everyday Life」2019年
8thアルバム。
〈Sunrise〉と〈Sunset〉の二部によって構成されたアルバムで
前作にあたる「A Head Full Of Dreams」は近年のポップ路線の集大成的なモノだった反動か、初期にあたる1stの「Parachutes」、2nd「A Rush of Blood to the Head」に近い静かで内省的な世界観の作品となっている。
バンドサウンド主体で過剰なアレンジの味付けもされていないし、メロディの良さにも浸れるようなシンプルな曲構成。
そういった意味では初期のサウンドへの回帰と捉えることもできる。
が、楽観的とは言えない社会的問題を取り扱った歌詞が各曲のバックグラウンドにあったり、ジャケ写からもう伺えるけど全体的にオールディーズ的な作風であったりとColdplayらしくない新しい側面も見えたりする作品でもある。
正直、ポップミュージック的な意味合いで言うと商業的には自殺行為に近い作品(リード曲も言うほどポップじゃないし、アルバムもUSでは1位を獲れなかった)だけど、
ポップスを極めた「A Head Full Of Dreams」の後だからこそ、こういう原点回帰な作風&地に足を付けて現実的な視点で世界を見る作品が必要だったんじゃないかなと思う。
個人的にはお気に入りのアルバムです。
第4位「A Rush of Blood to the Head」2002年
2ndアルバム。
邦題は「静寂の世界」。原題の意味は「頭に血が登る」なので楽曲の雰囲気から邦題を決めたのだろうか??
世界的成功を収めた1st「Parachutes」の売上を越えて、1700万枚というバンド史上最高のセールスを記録した大ヒットアルバム。現在においてもColdplayの最大売り上げを誇るアルバムとなっている。
作風としては前作の内省的なギターロック路線を引き継ぎつつも、ギターがメインだった前作に対してピアノがメインに持ってきたのが今作。
ピアノをメインにしたおかげで音に柔らかさが生まれて、それがクリスの優しいヴォーカルともベストマッチ!
これが楽曲にキャッチーさと深みを生み出しており、「The Scientist」といった彼らを象徴するような名バラードも誕生していたりするので、そういう意味で今日のColdplayの核がここで生まれた!と言っても過言ではない…かもしれない。
あと「Clocks」の軽やかなピアノリフの気持ちよさったら無いでしょ!
正直この路線でずっと行き続けたColdplayの世界線も見たかったなぁ…って思う。そんくらい良いアルバムだと思う。
・・・実はそこまで好きなアルバムでは無かったんだけど、今回の記事のために改めて聞きなおしたら「めっちゃ良いじゃん!」ってなってこの順位に。
第3位「A Head Full of Dreams」2015年
7thアルバム。
内省的なダークな前作「Ghost Stories」と姉妹作的な立ち位置の作品で、前作と対照的なポップで明るい作品となっている。
ポップス畑からビヨンセやリアーナなどを手掛けているスターゲイトがプロデューサーとして参加している、いわゆるメインストリームのポップスに最も接近した作品。
先行シングル「Adventure of a Lifetime」はDaft Punkの「Get Lucky」のようなダンサブルなギターポップであったり、
ビヨンセが客演した「Hymn for the Weekend」ではR&Bへの傾倒を見せたり、
かつてない音楽性の幅広さを見せつつも
彼ららしさが詰まったバラード「Everyglow」「Amazing Day」もキッチリと入っていて、らしさと新境地が違和感なく同居している。
インディーロック的なアプローチ「Birds」は今作において方向性がちょっと違うけど、こういうロックバンド的な目配せを忘れていないのもポイント高い。
このようにアルバムとして色んな要素を取り込みつつも全体としてはバランスも良く取れていて、さらっと通して聞けてしまうのが今作最大の魅力じゃないでしょうか?
そんなこんなで、ポップバンドとしてのColdplayの到達点はここだと個人的には思います。
第2位「Parachutes」2000年
記念すべきデビューアルバム。
デビュー1作目だが世界的に成功を収め、全世界で1300万枚近いセールスを記録している。
優しい…というか今作ではか細いに近いクリスのファルセットを多用したヴォーカルスタイル、
あまりにメランコリックで儚げで気分が沈んでいってしまうそうなサウンドスケープ、
そんな中で確かに響く美しいメロディライン。
Coldplayの原点にして頂点ともいえる美メロ・ギターロックアルバムです。
最新作を聞いた直後に聞くと「ちゃんとギターロックしてる!?」とビックリすること間違いなしな内容なんだけど、
作風としては「The Bends」の頃のRadioheadやTravisといった90年代末期の内省的なUKロックの流れをそのまま受け継いだような感じ。
普段Coldplayを聞いていて「UKロック聞いてるなぁ~」と感じることはあんまり無いけど、このアルバムだけは別。色んなところからUKロックの血脈をヒシヒシと感じる。
Radioheadの路線変更後のファンの受け皿に今作がなったという話もあるけど、それも納得できる。俺もリアルタイムで聞いてたらそうなったと思うもん。
Travisの「The Man Who」、Radioheadの「The Bends」が愛聴盤な私としてはやはり今作はやっぱり大好きな1枚になのは自明の理ですね。
第1位「Ghost Stories」2014年
6thアルバム。次回作となる「A Head Full of Dreams」とは姉妹作のような関係で今作はクリスの離婚に影響された内省的なアルバムに仕上がっている。
前作「Mylo Xyloto」の派手派手ポップ路線とは打って変わって、シンプルな音に何処までも沈み込んでいってしまいそうなダークな世界観。
初期のColdplay(1stと2nd)もこういった内省的な要素を多く含んでいたけど、今作はクリスの離婚というパーソナルな出来事がダイレクトに反映されているので、作品から感じられる悲しみや喪失感が圧倒的に強い。
歌詞も聞いてるだけで痛みや悲しみが伝わってくるような手触りがあって、辛いアルバムなんだけど、だからこそなのか、彼らの美しいメロディがじっくりと染み入る感覚を感じる。
サウンド面ではエレクトロニクス的な音像が前作からの継承された部分ではあるけども、音数が絞られて、より立体的な作りになっているので、内省的なテーマ性にマッチした凄く密室的なサウンドスケープになっているなと思う。
こういった具合に内省的な作風で統一されている「Ghost Stories」なんだけど、
唯一の例外がラストの1個前に置かれた「A Sky Full of Stars」。
EDMのプロデューサーであるAviciiを迎えて制作された楽曲で、この曲だけが華やかでポジティブでこの曲だけ浮いてない?って言う人も結構いるんだけど笑
アルバム1枚通して痛みと悲しみの物語を描いてきて、「A Sky Full of Stars」で全てを受け入れるポジティブさに回帰していき、最後はアルバムを総括したような前向きなメッセージを歌う静かなバラード「O」で締めくくる……というストーリー性が見えてきます。
いやぁ、この流れ、めっちゃくちゃ見事な構成だと思うし、最初聞いた時感動しちゃったんですよね。大衆的には今作が特に飛び抜けて評価が高いわけじゃないって後で知ってめっちゃビックリしましたもん。
こんな感じなわけで
個人的にはアルバム通しての一貫性、ストーリー性といった意味で「Ghost Stories」は他とは一線を画する、Coldplay最高傑作的な作品なんじゃないかなと思うわけです。
さてColdplatの個人的アルバムランキング第1位は「Ghost Stories」でした!
今作に関しては他とは違うもう1つの理由がありまして、
初めてリアルタイムで体験したColdplayの新譜だったということ、
そして初めてのアルバイトの給料で買ったアルバムのうちの1つだったということ(もう一つはLinkin Parkの「The Hunting Party」)。この2つの理由がデカいです。そりゃ思い入れがあれば別格になりますよねぇ…と。
ということで
最終的な順位はこうなりました!
①Ghost Stories
②Parachutes
③A Head Full of Dreams
④A Rush of Blood to the Head
⑤Everyday Life
⑥Viva la Vida or Death and All His Friends
⑦Mylo Xyloto
⑧Music of the Spheres
⑨X&Y
さて10月に控える「Moon Music」はどういった作風になるのか。
先行で出てる2曲からするといつもポップス路線からちょっと外してきそうな気も…。
その辺含めて期待大です。