新作に向けてのJourneyアルバム振り返り記事3こめです。
一般的にJounery全盛期と呼ばれることが多い「Escape」から「Raised On Radio」までの3作を振り返っていきます。
Journey『Escape (E5C4P3)』
1981年7月31日リリース
・ロス・ヴァロリー (bass)
・スティーヴ・スミス (drums)
・スティーヴ・ペリー (vocal)
・ジョナサン・ケイン(keyboard)
7thアルバム。
前作を最後にニール・ショーンと共にバンドを牽引してきたグレッグ・ローリーが脱退。後任にJourneyのツアーの前座として参加していたThe Babysのジョナサン・ケインが加入。
今作で人気が本格的に爆発。バンドとして初めて全米1位を記録、世界で1000万枚という大ヒット作となった。
「Don't Stop Believin」(全米9位)、「Open Arms」(全米2位)、「Who's Crying Now」(全米4位)と3枚ものヒットシングルが出た。特に「Don't Stop Believin」は00年代に入ってからドラマ「Glee」の挿入歌としてリバイバルヒットをしており、名実ともにバンドの代表曲となっている。。
ジャケ写がお馴染みのスカラべが球体から脱出(Escape)している様を描いているが、その様子が表すようにバンドとして一皮むけた作品。
その要因が何なのか聞けばわかるが、ジョナサン・ケインの加入がJourneyにとって2つ目の転機になっただろう。アルバム収録曲のほとんどをニール、ジョナサン、ペリーの3人で共作しており、楽曲の雰囲気がガラッと変わっている。
ペリー加入でJouneryにポップさとキャッチーさが導入された感じがあるけど、ジョナサンのソングライティングが加わったことでそれがさらに強化された感じ。
特に「Don't Stop Believin」、「Open Arms」辺りは後年になってメディアで使用されたり、ストリーミング配信が主流になってから大人気になっていたりと時代を越えた普遍性を獲得している。まさにペリー加入後キャッチーでハードなロックを追い求めてきたJouneryの一つの到達点だ。これが最高傑作と推す人が多いのも最も売れたという事実も納得の1枚。
Journey『Frontiers』
1983年2月22日リリース。
・ロス・ヴァロリー (bass)
・スティーヴ・スミス (drums)
・スティーヴ・ペリー (vocal)
・ジョナサン・ケイン(keyboard)
8thアルバム。
前作と同じ布陣で制作され、全米2位&600万枚の大ヒットを記録した(当時1位だったのは世界一売れたアルバム、Michael Jackson「Thriller」)。
「Separate Ways (Worlds Apart)」が全米8位、「Faithfully」が全米12位といったヒット曲も生まれた。
かの有名なクソださMV「Separate Ways」は今作が初出。そもそもJourneyはMV嫌いだったようで、同じく本作収録の「Chain Reaction」もまぁまぁダサし、前作の「Don't Stop Believin」「Open Arms」はそもそもMV作ってない…(ライブ映像の流用)。この件はそのまま次回作にも引き継がれることになるんだけど…それはまた別のお話。
前作でキャッチーでハードなロックの到達点になっていたと思うんだけど、今作はよりハードな方向性に舵を切った感覚。といってもペリー加入前のようなプログレ、ハードロック路線とも異なる、印象的なシンセのフレーズと豪快なギターリフが印象的なThe 80'sハードロックな音作り。時代性という意味では今作が1番感じるかな…。
といってもキャッチーさやポップさは前作から引き続き安定しており、特にシングルが集中しているA面はメロディの切れが過去1レベルで輝いている。
B面は一転して(ちょっと時代を感じる)ハードロック。後年のライブでも取り上げられない曲があったりして「Troubled Child」~「Frontiers」辺りはややぱっとしない感覚もあるんだけど、ラストの「Rubicon」が盛大にフィナーレを飾るロックチューンで一気に印象を引き戻してくれる。
Journey『Raised On Radio (邦題:Raised On Radio~時を駆けて)』
1986年4月21日リリース。
・スティーヴ・ペリー (vocal)
・ジョナサン・ケイン(keyboard)
・ランディ・ジャクソン(bass)
・スティーヴ・スミス(drums)※一部のみ
・ラリー・ロンディン(drums)※一部のみ
・マイク・ベアード(drums)※ツアーのみ
9thアルバム。
前々作、前作の大成功を務めたJourney。しかしバンド内外で様々な問題が起こっており、ロス・ヴァロリーとスティーヴ・スミスがバンドから脱退してしまい、
今作制作時には正式メンバーがスティーヴ・ペリー、ニール・ショーン、ジョナサン・ケインの3人組編成となっている。
実際はスミスは数曲のみ、レコーディングに参加していたが、ヴァロリーは不参加。ツアーにはどちらも不参加となっており、バンド解散説が囁かれるようになった。
アルバムは全米4位、「Be Good To Youself」「I'll Be Arlight Without You」「Suzanne」「Girl Can Help It」といったヒットシングルが4枚出た(過去最高のヒット数)。
が、MVが作られず(ライブ映像の流用で乗り切った)、肝心のツアーが途中で中断されてそのまま活動休止状態となったため、アルバム自体の売り上げは前々作、前作ほど伸びなかった。
今作リリースまでにスティーヴ・ペリーがソロアルバム「Street Talk」をリリースしており、大ヒットを記録している。
そのペリーが今作のプロデュースも担当しており、ペリーの影響が強く出た作品となっている。
ペリーの「Street Talk」がAORの影響が強く出た作品であり、それをそのままJourneyに逆輸入したような作風で今までの作風とは一線を画す内容。
過去1でポップでハードなロックを求める人にはイマイチ物足りない感じになっている気がする。一方でメンバーが2人もいない状況下で作られたせいでか、ライブ感というよりかはカッチリと決めたセッションのようなサウンドに仕上がっている。
このサウンドがAORという方向性にばっちりマッチしていて、良い意味でJourneyのライブバンド的な迫力は削がれた一方で、純粋に曲の完成度を高めることを突き詰めた感じ。そういったこともあって実は今作がJourneyの中での1番好きなアルバムだったりする。